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爪を噛む癖は治る?子どもの爪噛みの原因や家庭でできる対処法【医師監修】

LITALICO発達ナビ

監修:藤井明子

さくらキッズくりにっく院長 /小児科専門医 /小児神経専門医/てんかん専門医

子どもの爪噛み、爪を噛む癖、原因は?

子どもの爪を噛む癖を止めさせたいと思っている保護者の方は、たくさんいます。爪噛みをするようになるのは、6〜12歳が最も多く、男児よりも女児にやや多いといわれています。大半は、子どものうちに治りますが、大人になっても治らない人もいます。

どうして爪噛みをするのでしょう? 爪噛みには、さまざまな原因が考えられます。

1つ目は、ストレスや緊張、不安があること。
子どもは成長過程で、さまざまな変化に気持ちを対応させる必要があります。入園や入学など、環境が変わって寂しい思いをしたり、つまらないと感じていたりするかもしれません。先生や友だちとの人間関係が思いどおりにいかず、イライラしたり、悩んだりしていることもあります。
家族や保護者との関係が、関わっていることもあります。家庭内での頻繁なケンカ、保護者からの愛情不足や過保護・過干渉などがストレスとなり、爪噛みなどの身体的サインとして表れることがあるといわれています。しかし、爪噛みの原因はストレスによるものばかりとは限りません。

2つ目は、本人が几帳面だったり、デリケートな気質であること。
爪の長さが気になったら、噛んででも短くしないと気が済まなかったり、指のささくれが気になって、噛んで取っているうちに、爪も噛んでしまっていたりすることもあります。

3つ目は、手持ち無沙汰のときに刺激を得る行為のひとつであること。
何もすることがなく暇なときに、爪を噛んで得る刺激によって、脳を覚醒させたり、情緒を保ったりしています。これを自己刺激といいますが、刺激への欲求が強くなると行為が過剰になり、指から出血することもあるので注意が必要です。

ここにあげた原因はごく一部で、爪噛みがある人すべてにストレスがあったり、几帳面な気質だったりするわけではありません。まったく原因がないのに、爪噛みをする人も多くいます。

爪噛みを続けていると、爪や指から出血して雑菌などが入ったり、爪の雑菌が口から体内に侵入したりして、感染症にかかるリスクがあります。また、爪や指の変形や、歯並びが悪くなる、あごの骨が変形するなどのリスクも考えられます。

子どもの爪噛み、爪を噛む癖は治るの? 対処法などはある?

爪噛みがひどく困っている場合は、かかりつけ医に相談するのもひとつの方法です。爪噛み癖のことを「咬爪症」といい、爪と歯の形状で診断します。形状を調べることで、症状のレベルが分かるのです。爪や指から出血している場合は、塗り薬を塗布します。
また、かかりつけ医から心療内科を紹介されることもあり、そこでは、より専門的な検査を行います。

爪噛みは、大半が幼少期の一時的なもので、大人になると自然と治ることがほとんどです。
「爪の形が変形してしまう」「痛みや炎症につながる」などの理由から心配する保護者の方も多くいると思いますが、本人は、爪を噛むことで心のバランスを保っていることがあるので、無理やりやめさせるのは、逆効果になる可能性があり、おすすめしません。

子どもが爪を噛んでいるのを見たとき「やめなさい!」と叱ったり、逆に「爪を噛まなかったら〇〇していいよ」と、ご褒美でやめさせようとしている場合も注意が必要です。爪噛みや注意や叱咤、我慢の強要では治るとはかぎりません。

家庭でできることのポイントは、次の4つです。

1.刺激している部分をブロックする
つねに爪を短く切り、物理的に噛めないようにします。それでも指先を噛んだりする場合は、手袋をしてもいいでしょう。爪噛み防止のための専用マニキュアも販売されています。安全性は高いですが、治療中の病気がある、常用している薬があるという場合は、主治医と相談してください。

2.別の行動に促す
手持ち無沙汰にしていて、爪噛みをしそうなタイミングが分かるときは、「〇〇ちゃん、お片付けのお手伝いしてほしいな」「△△くん、これ、運んでくれる?」などと声がけし、別の行動をするように促してみましょう。

3.代わりの刺激に置きかえる
勉強をしているときに爪噛みをするという子どももいます。そんなときは、トゲトゲのついたゴムボールを持たせたり、グミやガム、スルメイカを与えたりして、別の刺激に置きかえてみましょう。
効果のある方法は一人ひとり異なるので、子どもにあった代替刺激を探してみるといいでしょう。

4.リラックスできる環境をつくる
不安や緊張感が爪噛みに表れていることがあります。笑える動画を見たり、思う存分好きなマンガを読んだりするのも、ひとつの方法です。ホッとできるぬいぐるみと一緒に寝たり、触り心地のいいタオルケットを使ったりすることで、心が安らぐこともあります。

爪噛みは、ストレスや手持ち無沙汰が原因のことも。やめさせるのに、きつく叱ると逆効果

爪噛みは、不安やストレスが原因のこともあれば、単に手持ち無沙汰で癖になっていることもあります。障害がある子どもの場合は、自己刺激行動のひとつのこともあります。どの場合も、きつく叱ったり、注意したりして、無理にやめさせることは控えましょう。さらにストレスがたまり、爪噛みがよりひどくなる場合も考えられます。

本人が安心できる環境づくりを意識したり、ガムやスルメイカを噛むなど別の行動に置き換えたりして、爪噛み癖と上手に付き合っていくことが大切です。

子どもの爪噛み、爪を噛む癖は発達障害と関係ある?

爪噛みがやめられないのは、なにか障害が関係しているのでは? と考えることがあるかもしれません。
発達障害などがある人にみられる、自己刺激行動の一つに爪噛みがあります。自己刺激行動とは、自ら刺激を求めにいく行動のことで、五感から受け取る刺激を過剰に感じてしまう「感覚過敏」や、反対に刺激を受け取りにくい「感覚鈍麻」があると、出ることがあります。
また爪噛みは、チック症や強迫症の関連疾患である身体集中反復行動症がある場合も表れるといわれています。

しかし、爪を噛むからといって、必ずしも障害や疾患があるわけではありません。単なる癖の場合も多く見られます。
爪が変形するほど噛み続けたり、爪噛みがやめられなくて外出できない、など、日常生活に影響を及ぼしたりする場合は、かかりつけ医に相談してみましょう。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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