映画で栄えたまちに37年ぶりの映画館 25歳の女性館長が仲間と手づくり カフェも併設
■伊東市の「金星シネマ」 9月14日にオープン
静岡県伊東市に9月14日、常設のミニシアター「金星(きんぼし)シネマ」がオープンする。映画館の開館は37年ぶりとなる。16席と小規模な映画館」で、新作と旧作を1日3、4作品上映する。
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金星シネマは伊東駅から車で15分ほどの距離にある生活施設が集中する一角に構えられている。元々は眼科と耳鼻咽喉科だった建物をリフォーム。金星シネマの梅澤舞佳館長と仲間たちが手づくりで完成させた。
館内は140インチスクリーンと16席を備え、カフェが併設されている。地元農家の野菜直売スペースも設けるなど、普段の暮らしの延長線上にある“まちの映画館”を目指すという。次のようにコンセプトを説明している。
「誰もがスマホや自宅のモニターで映画を楽しむことができる時代に、映画館で映画を観ることは〝特別〟なことのようになりました。でも、だからこそ〝ふだん〟の映画館があっても良いのではないか、そんな思いが金星シネマにはあります」
「オリジナルの映画ノートも用意して待合室の学習机で映画を観た後に感想を記入したり、預けたりすることもできます。映画を観るだけでなく、観る前と観た後も大切にしたい。金星シネマはそんな〝まち〟の映画館でありたいと思います」
■「ここなら通いたい」 ミニシアター嫌いの館長も納得
伊東市の中心には「キネマ通り」と呼ばれる商店街がある。戦前にあった映画館「キネマホール」に由来し、かつては映画のまちとして栄えた。しかし、今は市内に映画館がなく、金星シネマは37年ぶりの開館となる。25歳の若さで映画館の開館を決意した梅澤館長は、こう話している。
「東京で過ごした学生時代、学校に行かずシネコンやミニシアター、名画座に通い詰めていた私ですが、シネコンのゆったりした椅子と大きなスクリーンでポップコーンを抱えながら観る映画が大好きだったので、ミニシアターは窮屈に感じてしまいあまり好きではありませんでした。映画館をつくろうと思い立ったものの、とにかくお金がないのでミニシアターしかつくれない。それならミニシアター嫌いの自分が『ここなら通いたい』と思えるような映画館をつくろうと思いました」
「今はサブスクで映画が簡単に見られますが、やはり映画館で見る映画はいいものだと思います。家を出て映画館に行くまでも、映画を見終わって入るご飯屋さんも、家に帰るまでも含めて、映画館で映画を見るという体験を楽しんでいただきたいです。金星シネマで映画を見て、嫌なことをほんの少し忘れられたり、あすからも頑張ろうと思えたり、何よりも映画が好きになってくれる方が一人でも増えたらうれしいです」
金星シネマの住所は伊東市吉田573-1。鑑賞料金は一般1500円、シニア(60歳以上)1200円、高校生以下1000円となっている。お得な鑑賞料金とオリジナルグッズをセットにした会員システムも用意している。上映スケジュールは公式ホームページに掲載している。
(SHIZUOKA Life編集部)