かつて見たことのない、韓国映画のパラレルワールド傑作が誕生『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』
次世代の韓国映画界を担っていく若手俳優たちが揃い踏みとなった、パラレルワールド映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』が、10月31日(金)より公開される。このたび、新たな場面写真と監督インタビューが解禁となった。
韓国が放つ、新時代のパラレルワールドの傑作が誕生
「第11回ソウル国際プライド映画祭」オープニング作品として上映され韓国で話題を呼んだ本作。青春時代のやるせなさを抱える男が思い描くのは、「もしも、あの時に戻れたら……」「もしも、愛を告白できていれば……」誰もが一度は考えてしまう、人生の分岐点で“選ばなかった”もう一つの道。別の選択をしていれば、どんな現在を生きていたのだろうか——。そんな、後悔とも未練ともつかない気持ちで生きるすべての人へ贈りたい、“もしも”のパラレルワールド。
メガホンを取ったのは、長編映画デビュー作『葬式のメンバー(原題)』で「ベルリン国際映画祭」や「エディンバラ国際映画祭」など海外の名だたる映画祭に招待され、インディペンデント映画界を代表する監督としての地位を築くペク・スンビン。全米図書賞に輝いた、ウィリアム・マクスウェルの小説「So Long, See You Tomorrow」から着想を得て、テグで10代を過ごした自身の経験をもとに脚本を書き上げた。
「これからをもっと懸命に、そして愛をもって生きられるきっかけになってほしい」
本作の監督・脚本を務めたのは、韓国映画アカデミー(KAFA)出身のペク・スンビン。長編デビュー作『葬式のメンバー』が「第59回ベルリン国際映画祭」に正式招待されるなど、韓国インディペンデント映画界を代表する気鋭の監督として、国内外でその才能が認められている。
Q. 本作はどんな魅力のある映画でしょうか。
私が言うのもなんですが…。知人の映画監督が、本作を観てこう言いました。「題材はパラレルワールドなのに、こんな語り口の韓国映画はあっただろうか。同じパラレルワールドを描くにしても、アメリカで10代を過ごした監督は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のような映画を撮るけど、韓国でもっとも保守的な土地・大邱(テグ)で10代を過ごした君は、パラレルワールドをこんなふうに考えるんだな」と。
Q. 2021年のソウル国際プライド映画祭で初公開された際に、「これは後悔と悔恨の映画であり、パラレルワールドのもうひとりの自分の物語から生まれる温かな共感の映画」とおっしゃっていましたが、もう少し詳しく聞かせてください。
物語は、当時の自分の姿が嫌で、いつも違う自分を夢見ていた10代の少年ドンジュンの話です。別の宇宙にもう一人の自分がいて、自分を支えてくれた友人がいる。そんな時、その友人に大きな出来事が起こり、助けられなかった後悔が、それぞれ異なる運命を生みます。映画ではその運命を3つのパラレルワールドとして描きます。後悔をどうにかして正そうとするひとりの物語であり、若い頃にはできなかったことを、年を重ねてからやっとその友人のためにする物語でもあります。最終的に、自分の後悔の底にいるのはその人であり、この長い旅の終わりは、その人に会うための旅路だという話です。
Q. パラレルワールドという概念について、監督はどう考えていますか?
主人公ドンジュンが憧れるカンヒョンは、いつも高い場所に登って歩きます。危険なのに。ドンジュンが「なぜ危ないことをするのか」と聞くと、「うんざりする人生に自分なりの反抗をしているんだ」と答える。足を一歩踏み外せば落ちるように、手を少し伸ばせば別の世界へ行ける——私はそれがパラレルワールドだと思っています。大きな決心をして行く場所ではなく、ほんの小さな選択の違いが別の人生の道筋を作る、そんなものです。
Q. 観客の皆さまへのメッセージをお願いします。
観終わった後、「自分が別の選択をしたらどんな人生だったか」を考えてみてほしい。そういう想像が、これからをもっと懸命に、そして愛をもって生きられるきっかけになると思うからです。観客のみなさんにも、それを感じてもらえたらうれしいです。
新場面写真は、主人公のドンジュンを演じた『あしたの少女』のシム・ヒソブ、ドンジュンの少年時代を演じた『脱走』『このろくでもない世界で』のホン・サビン、ドンジュンが思い焦がれる男子高校生カンヒャンを演じた「無人島のディーバ」のシン・ジュヒョブ、ドンジュンの母役の「イカゲーム」「涙の女王」のキム・ジュリョン。主要キャストそれぞれのカットが公開された。
『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』は10月31日(金)より全国公開中