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「社会人お笑いがサードプレイスだった」アマチュア初のR-1ファイナリスト・どくさいスイッチ企画が明かす“趣味”のお笑いが、人生の“幹”になった理由

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「社会人お笑いがサードプレイスだった」アマチュア初のR-1ファイナリスト・どくさいスイッチ企画が明かす“趣味”のお笑いが、人生の“幹”になった理由【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

名刺に書かれた会社名と肩書きだけで、自分を語り尽くせているでしょうか?「もっと、自分らしい何かを表現したい」。そう感じているのは、きっとあなただけではありません。パラレルキャリアや副業という言葉では捉えきれない、 「もう一つの肩書き」を育み、人生を豊かにする人々 。連載 「肩書き+(プラス)」 では、本業の幹を育てる傍らで自分らしい「枝」を伸ばし、自分らしく活躍をする人の仕事観に迫ります。

今回登場するのは、「R-1グランプリ2024」でアマチュアとして大会史上初のファイナリストに選出され、巧みな話術と演技力、構成で繰り広げられる一人コントで会場と視聴者を沸かせたピン芸人・ どくさいスイッチ企画さん 。

大学卒業後社会人として働きながら、いかにして「芸人」を自分らしい肩書として育てていったのか。その選択の理由から、社会人と芸人活動両立するなかで見えてきたリアルなメリットとデメリットについて、当時を振り返りながら語ってもらいました。

後編:どくさいスイッチ企画「一刻も早く始めて、一刻も早く辞めればいい」会社員×芸人が語る“自分だけの肩書”の育て方

落語の大学生王者になるも、内定を無下にできず

――大阪大学在籍中は落語研究会に所属し、大会でも全国優勝されたそうですが、そこからなぜ芸人ではなく就職を選んだのでしょうか?

どくさいスイッチ企画(以下、どくさい) 優勝したのは大学4年生の2月で卒業間近。すでに会社の内定をもらっていたんです。リーマンショックの影響でなかなか内定を取れない中でなんとか1社のみ受かっていたので、 こんな苦労してもらった内定を無下にはできないという思いが強かった んです。そもそも15年前の 当時は、働きながらお笑い芸人になるというキャリアを歩んでいる人がほとんどいなかったことも大きい ですね。

それから3年間、内定をいただいた1社目で働いた後、そこを辞めるタイミングで社会人落語の全国大会でも優勝して、このときは落語家になるかどうか悩みましたね。でも、 会社員としてのコミュニケーションや「報・連・相」が得意なほうではなかったので、これは落語家に弟子入りしたらもっと苦労するだろうな と思って……。

落語家は師匠に弟子はつきっきりですし、会社員以上にコミュニケーション能力が問われる。これは自分には到底できるはずがないと感じて「会社員のままでよい」と挫折しました。

――社会人になってからも落語を続けていたそうですが、その理由は何でしょうか?

どくさい 単純に落語が好きだったので、あくまで“趣味”ですね。社会人の方々が集まってネタを見せる「落語会」というものが定期的に開催されていて、そこで10年ぐらい披露していました。きっと 「趣味が落語のサラリーマンで人生が終わるだろうなぁ」と思っていて、プロになることは全く頭によぎっていなかった時期ですね。

コロナ禍が奪った趣味から新たな世界へ

――社会人が趣味を楽しんで生活することも素晴らしいと思うのですが、現在やっている「一人コント」を始めることになるきっかけは?

どくさい コロナの影響ですね。社会人落語はコロナとめちゃくちゃ相性が悪いんですよ。おじいちゃんやおばあちゃんを大勢集めて開催するのが基本なので、感染リスクが高くてすべて中止になってしまって……。それで、 僕の趣味が完全になくなってしまった んです。

落語しか趣味がなくて途方に暮れていたとき、大阪でアマチュアお笑いのライブ界隈が盛り上がり始めていて、コロナ期間中でもアマチュア向けのライブや大会をやっているのを知ったんです。 なので、お笑い好きとして「舞台袖」というライブハウスに観客として観に行くようになりました。

そんな矢先、ライブを立ち上げたばかりで出演者が足りなかったみたいで 「落語をやっていたならコントもできるんじゃないですか?」と誘われたのが、一人コントをやるようになったきっかけですね。 最初は軽い気持ちで出演していたのですが、ライブで良い反応が得られたんです。そうすると他のライブにも呼ばれるようになって……という流れです。

――いきなり結果を出すのはさすがですね。その頃からピン芸人としてお笑いに本気で向き合おうと思ったのでしょうか?

どくさい  全く考えていませんでした。次の会社でもサラリーマンを続けていましたし、ただライブに出るのが楽しかったので「次もまた出ようかな」ぐらいの感覚でしたね。 「R-1グランプリ」も「せっかくなら出てみたい」という気持ちから出場していました。1回戦で落ちてもいいと思っていましたが、意外と通過できてしまって。準々決勝に進出し始めたあたりから「もしかしたら……」と思うようになりましたね。

ただ、その途中で「頑張るぞ」という気持ちはありましたけど、目の前にある目標に向かってやっていただけで、 流れに身を任せていたら結果も出ていったというのが本音 です。

社内では芸人活動を公表せずにライブへ出演

――会社員として働きながらお笑い活動をするうえで大変だったことは?

どくさい 一番つらかったのは 「日曜の夜にライブに出て、月曜朝から普通に出社する」 というルーティンですね。ライブに出る日は朝から緊張しているし、休んだ気がしないですから。社内で社会人落語をしている話はしていましたが、ピン芸人の活動をやっていることは言っていなかったので、「R-1グランプリ」の予選も全部有休を取っていました。「なんで休むの?」って聞かれるのもしんどかったですね。

――会社員経験がネタに生かされたりはしましたか?

どくさい ネタを作るうえではないですね。 勤めている会社に迷惑をかけたくなかったので、ネタは基本的にフィクションで作っていました。

強いて言えば、芸人だけをやっている人たちは見た目や服装も若く見えるのですが、 僕はサラリーマンとして年相応な見た目や老け方をしていたので、サラリーマンの役をやっていても無理がないし、逆に目立つことができたことですかね。

ライブに出ている芸人の中では老けて見られますが、30代後半のサラリーマンだったら僕の見た目はいたって普通。逆に芸人が若々しすぎて変なんですよ(笑)。

――確かに(笑)。関西はお笑い熱が高いイメージがありますが、「R-1グランプリ」の準々決勝に進出したあたりから、社内で気づかれたことはありませんでしたか?

どくさい なかったですね(笑)。2022年に準々決勝に進出したときもアマチュアは3人しかいませんでしたが、そのときも声をかけてもらうことは全くありませんでしたし、自分で言うこともなかったです。さすがに決勝に進出した際は、上司にバレて「会社名だけは出さないでくれ」と釘を刺されましたね。

芸人活動が「サードプレイス」として心の支えに

――逆にサラリーマンを続けながら芸人活動をしていて良かったことはありますか?

どくさい 会社員をやっているとどうしてもコミュニティが会社と家庭だけになってしまうと思うんです。でも、 僕は落語やお笑いライブに出演したり、仲間と大喜利をしたりしていたので、会社と家庭以外で人と関わる場所があり、同じ趣味や目標を持つ人といられたことは本当に大きな意味があったと思っています。

現在やっている仕事も、一つは大学の落語研究会の後輩から、もう一つは大喜利仲間の先輩から紹介してもらった仕事なんです。別にそれを狙って人脈作りをしていたわけじゃないんですけど、結果的に今の生活を進めていくうえで助けてくれる人が現れた。 落語とライブと大喜利が「サードプレイス」的な場所になっていた んです。

休日を返上して会社員と芸人という2つの肩書をこなしながらも、それが心の支えや人脈形成にもなっていたと語ってくれたどくさいスイッチ企画さん。後編では「R-1グランプリ」ファイナリストになってから上京を決意するまでの経緯、会社員の仕事を続ける理由、今後の目標を聞いていきます。

後編:どくさいスイッチ企画「一刻も早く始めて、一刻も早く辞めればいい」会社員×芸人が語る“自分だけの肩書”の育て方

プロフィール

どくさいスイッチ企画

1987年生まれ。大学時代に「全日本学生落語大賞」で策伝大賞(最優秀賞)を受賞し、就職後も社会人落語などで活動。「R-1グランプリ2024」ではアマチュアとして史上初の決勝進出を果たし、4位の好成績を収めた。現在もフリー芸人でありながら契約社員としても勤務(※)。また、落語家として活動するほか文筆業も行っており、短編集『殺す時間を殺すための時間』(KADOKAWA)をリリース。第六回単独ライブ『えっへん』を8月24日(日)に東京・ユーロライブ、8月28日(木)に大阪・楽屋Aで開催。
(※)6月中旬取材時点

X(旧Twitter) @dsatwalle YouTube どくさいスイッチ企画と銀杏亭魚折 note どくさいスイッチ企画

取材・文:瀬戸大希
撮影:求人ボックスジャーナル編集部
編集:求人ボックスジャーナル編集部 内藤瑠那

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