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Python並みに使いやすくC言語並みに早く。応用性抜群のプログラミング言語を支えるJulia Computing

TECHBLITZ

エンジニアから昨今注目を集めているスクリプト言語Julia。高度な計算を可能にし、読み書きもしやすく日本でもファンが多い。主に機械学習に利用され、医療分野などでの応用が期待されている。Juliaの生みの親であり、法人向けにJulia用のクラウドプラットフォームを提供するJulia Computingの創業者でCEOのViral B. Shah氏に話を聞いた。

MIT発最新のプログラミング言語で機械学習を簡単に、高速に

――まず御社の製品について教えてください。

 Julia computingでは、他のプログラミング言語・クラウドビジネス・マシンラーニング関連企業とは一線を画す製品戦略を展開しています。

 まず、Juliaの設計者として、私たちはJuliaを使うのに最適なクラウドプラットフォームJulia Hubを提供しています。Julia hub.comにアクセスすると、様々なタスクやジョブの実行、マシーンラーニングの計算等をワンクリックで行うことができます。

 Julia hub.com上では、さらに法人などのカスタマー向けソリューションを提供しています。例えば、製薬会社向けにはPumasという製品を開発しました。Julia SIMと言って、エンジニアが複雑なシステムを駆使してデザインのシミュレーションを可能にする製品もあります。主に自動車や航空宇宙関連企業向けです。そして、サーキットシミュレーション用のJulia Spiceといった製品もあります。

Image: Julia

――プログラミング言語設計のきっかけや、起業に至った理由は何ですか?

 Juliaは、オープンソースのプログラミング言語です。 私が設計者で、Julia Computing社の創設者でCEOでもあります。Juliaプロジェクトは2009年MITで始動しました。

 設計の動機は2つで、「Python並みに使いやすくできるか」そして「C言語並みに高速にできるか」という2点です。それを念頭に開発を行い、途中でユーザーからの関心を集め始めました。

 最初のクライアントは小規模な金融機関でしたが、非常に気に入ってもらえました。しかし、後ろ盾となる企業がいないと使用にあたり懸念が生じます。当時は、他の企業からも既に関心を集めていたので、営業範囲を広げ製薬会社やエンジニアリングを行う企業にも売りこみました。そのようにして成長する中で、ただオープンソースのコミュニティだけではやっていけないと気づき、2015年にJulia Computingを他の共同創設者5名と共に設立しました。

Viral B. ShahJulia ComputingCo-Founder & CEOカリフォルニア大学サンタバーバラ校でコンピューター科学の博士号を修得後、テックやデータ関連業務に従事。2009年にプログラミング言語Juliaを設計し、2015年にJuliaを支えるプラットフォームを提供するJulia Computingを立ち上げる。

クラウドからワンクリックで全てのサービスにアクセス

――Juliaはオープンソースの言語ですが、どのように収益化していますか。

 収益モデルで他のオープンソース関連の会社と似ている部分は、私たちがJuliaを使うためのクラウド環境を提供していることです。従来は、自分でやり方を把握しなくてはいけませんが、私たちのインフラストラクチャーを使えば、アカウント開設からインテグレーションまで全てクラウドで行うことが可能で、ユーザーはブラウザとクレジットカードさえあれば他に必要なものはありません。こちらはスタンダードなサービスオファリングです。

 もしユーザーが、Pumas、Julia SIM、Julia Spiceを使用しているのであれば、個別の業界向けサービスとなるので単価が高くなります。基盤となるクラウドに加えて、追加のアプリケーションの分も支払う必要が出てきます。アプリケーションを私たちのクラウドで搭載するパートナーからも収益が入るので、お分かりの通り包括的なエコシステムとなっています。

――最も需要の多い業界はどこでしょうか。また、今後どのような企業と提携したいですか?

 Juliaはざっくり言うと、汎用性がある計算ツールです。官民両方でクライアントがいますので、小さな会社ながら幅広い取引先を持っています。 現在の1番需要の大きい業界は、製薬です。僅差で銀行、金融業界が次いで、そして3つ目に公共セクターでの需要があります。

 私たちのビジネスがクラウド中心であるということを鑑みると、今後のパートナーシップは、クラウドコンピューティングの大手ベンダーとなるでしょう。例えばAWS、グーグルクラウド、マイクロソフトなどです。

オープンソースのコミュニティを支援しながらローカライズ予定

――調達した資金の使い道を教えてください。

 他の誰も価値を付加していない部分に私たちは価値を与えたいので、使い道はよく考えて決めました。現在私たちはJulia Hubをより強固にするためエンジニアリングチームを急速に成長させています。

 また、Julia SIM用に研究者やエンジニアを採用しています。過去10年間で1万以上の企業に加えて、1500以上もの教育機関がJuliaを使用しました。オープンソースユーザーも含めると、どれほど規模が大きいか想像を超えます。私たちは、その全てのユーザーがプラットフォームを使ってもらえるようマーケティングや、営業担当者、製品開発に携わる人材を必要としています。現在のチームは非常に小さいので、急拡大した需要に追いつくためには、チームを広げなくてはいけません。

――今後の目標や、日本市場での拡大についてはどうお考えですか?

  現在、日本では既に1社クライアントがおり、他数社とも交渉中です。 少しずつ国際的に存在感を強めています。クラウドプラットフォームのローカライジングもこれから行っていきたいと思いますし、レスポンスも素早くなるよう改善していきたいと思います。また、そこからビジネスが拡大すれば、チームを置くことも検討しています。

 日本だけに特化すると、既に大きなJuliaユーザーコミュニティが存在しており、オープンソースプロジェクトでは多数の貢献者がいます。 将来的に日本国内にも進出できる信じています。

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