「レイジベイト(怒りのエサ)」が海外で「今年の単語」に選ばれた理由
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、12月18日の放送に元・日刊スポーツ編集局長の久保勇人が出演。毎年、イギリスのオックスフォード大学の出版局が発表し、今年は「レイジベイト」が選ばれたという、「今年の単語」について解説した。
長野智子「(オックスフォード大学の出版局が発表する)『今年の単語』ってどうやって選ばれるんですか?」
久保勇人「日本の人にはあまり、なじみがないんですけどね。世界、特に英語圏の人たちは大きく注目しています。正式にはオックスフォード・ワード・オブ・ザ・イヤーといいます。長野さんはお使いになりましたかね、オックスフォード英語辞典」
長野「使っていました!」
久保「すごく有名な、世界で最も権威のある英語辞典です。英単語の意味や用法を定義していくんですね。これを編纂(へんさん)しているオックスフォード大学の出版局が1年間、世界を反映している単語、言葉を収集して、どれがこの年を表しているか、ということを振り分けていく。一般の方からの意見も取り込んで、最終候補を3つに絞ります」
長野「はい」
久保「3つを対象に投票も行われます、今年は3万人超が投票したようです。そういったことも踏まえてオックスフォード大学の出版局が1つを選んだと」
長野「私はタリフ(関税)が浮かびました。それじゃないんですよね」
久保「2025年は『レイジベイト』という単語が選ばれました。英文のニュースやネットの中で激増しているそうなんです。レイジベイト、日本語だと『怒りのエサ』と訳すべきですね。怒りの爆発を意味するレイジと、魅力的なエサを意味するベイトを組み合わせた。単語の意味をオックスフォード大学は、こう定義しました。『イライラさせたり挑発したり不快にさせたりして、意図的に怒りを誘発するように作成されたコンテンツのことである』と」
長野「はい」
久保「ウェブページやSNSアカウントへのトラフィック、アクセス。エンゲージメント、いろいろなコンテンツを読んでアクションする行為を増やす目的で行われている。といったことでレイジベイトを選んでいます。使用量が前年度から3倍ぐらい増えていると。怒りや不和や分断、炎上なんかを喚起することを目的にしているコンテンツのことです」
長野「日本にもそういうニュースはたくさんありましたからね」
久保「オックスフォード大学の責任者は『この単語の使用が劇的に増えているという事実は、私たちがネット上で陥りやすいことへの意識が高まっていることを意味しています』とコメントしている。怒りを誘う目的のコンテンツが危ないぞ、と思うから、この言葉を使っていると」
長野「はい」
久保「インターネットではかつてクリックと引き換えに好奇心を刺激するということに重点が置かれていた。でもいまは私たちの感情を乗っ取って影響を与えて、その言葉に反応する行動を起こさせる。そういうものに変化していっている、ということを言っています」
長野「はい」
久保「ちなみに昨年の『今年の単語』は『ブレインロット』という言葉でした。脳の腐敗といった意味です。重要と思っていなくても、なんとなくいろいろなページを見ていってしまう。無目的に過剰に摂取し続ける。精神的な消耗が生まれると。レイジベイトも同じような文脈で出ています。無目的に見ていた中に、あえて怒りを煽ってくるようなコンテンツが増えているよ、というようなことなんですね」