【川崎市】かわさき市民アカデミー 太田氏が「みどりの文化賞」 「一般目線の活動」が評価
川崎市民に学びの場を提供している「NPO法人かわさき市民アカデミー」(今井南町)の理事長であり、東京大学名誉教授の太田猛彦さん(83)が「みどりの文化賞」を受賞した。「森林・林業のあるべき姿を市民目線で伝え続けている」ことが受賞理由。太田さんは「これまでの活動が評価されうれしい」と喜びを語った。
公益社団法人国土緑化推進機構が、緑豊かな国土と新しい森林文化の創造に役立てるために、緑や森林に関し顕著な功績があった個人または団体を顕彰する「みどりの文化賞」。1990年に国民の祝日として「みどりの日」が制定されたことを記念して創設された。
過去には森林文化を未来に引き継ぐ管理をする神宮司庁営林部(伊勢神宮宮域林)や、作家で環境保護活動家のC・W・ニコルさんらも受賞。太田さんの専門は森林が山崩れを防ぎ、洪水を緩和する機能の研究・教育で、この観点から森林の管理全体についても発言してきた。「学界や行政への貢献だけでなく、森林の多面的機能について市民の理解を得る活動を行ってきたことが評価された」と関係者らの支援に対して感謝した。
森の持続可能な管理を推進する国際的組織の森林認証制度を林業家だけでなく、一般市民に知らせる活動や埼玉県で自然に対するナショナルトラスト運動の推進に取り組んできた太田さん。かわさき市民アカデミーの活動に対しては「私のような研究者が市民と交流し、関連する知見を知ってもらう重要な機会として大切にしている」と話した。
受賞記念の特別講演
「みどりの文化賞」受賞を記念した特別講演会「今だからこそ、森林を考える」が川崎市生涯学習プラザ(オンライン受講可)で行われる。11月15日(土)は「『森林飽和』と森林の多面的機能」、22日(土)が「これからの森林管理に向けて」。午後2時から3時30分。受講無料。締め切りはそれぞれ11月9日(日)と16日(日)。
太田さんは「1回目は日本の森の歴史を中心に、国土環境や自然災害は時代とともに変化していることを説明するので若い人に知ってほしい」といい、続けて「2回目は21世紀中葉の日本と世界の森林管理について思いを話す。木材利用に関心がある人にぜひ聞いてもらいたい」と思いを込める。申し込み、問い合わせは、かわさき市民アカデミー事務局【電話】044・733・5590。