【伊勢原市】畳店と災害協定締結 避難所に新品を無償提供
伊勢原市は10月23日、避難所生活の質の向上などの環境整備を目的に「5日で5000枚の約束。プロジェクト実行委員会」と「災害時の避難所等における畳の調達等に関する協定」を締結。市役所で締結式を行った。
同プロジェクトは、大規模災害が発生した際に被災地に5日以内で5000枚の畳を届けることを目指して活動。東日本大震災をきっかけに神戸市の畳店が何カ月も冷たい床の上で避難生活をしている映像を見て「何とかしたい」と呼びかけたのが始まり。2013年にプロジェクトが発足し、徐々にネットワークが広がり、現在は全国で523店舗が加盟、伊勢原市内では秋山畳店、杉浦畳店、成田畳店、梅原畳店、今福畳店の5店舗が参加している。
避難所生活の負担軽減へ
この協定は、災害時に新しい畳を迅速に届けることで避難所生活の厳しさを和らげようとするもので、県内では平塚市や厚木市など7市町、全国で195の自治体が災害協定を締結している(2025年7月末)。
災害時に地元の畳店が自治体と連絡を取り、必要な畳の枚数を確認。その後各地のプロジェクトメンバーに畳の製作を依頼し、製作された畳は届き次第、市内の広域避難所や医療救護所、福祉避難所などを優先的に、無償で届けられる仕組み。作り置きなどはせず、必要に応じて新たに畳を製作するという。
この日は同プロジェクトの小川崇関東地区委員長と参加する市内畳店が出席し、小川委員長と萩原鉄也伊勢原市長が協定書に署名した。
無償で提供される畳は、天然いぐさを使用するが、通常の家庭で使われるものとは大きさも厚さも異なる。大きさは176cm×88cm、厚さ3・7cm、重さは5kg〜7kgほどと軽量になっているため、避難所などで、女性でも運べて使いやすくなっている。
畳が持つ癒し防音効果に期待
同実行委員会によれば、畳には抗菌効果、湿度調整効果、足音などの防音効果、香りによるリラックス効果があり、萩原市長は「畳は懐かしさもあり安心できる空間を生み出し、避難所では心身の疲れを癒す効果もあると聞く。これからも連携協力しながら市の災害対策に推進していきたい」とあいさつ。小川委員長は「畳店にできることを最大限にしたいという思いで活動している。畳1枚でも皆さんの役に立てると信じている。何も起きないことが一番だが、万が一の時には心を込めて作った新しい畳が避難所などに届くことを約束する」と語った。
同プロジェクトは平時には防災訓練や防災イベントに参加し、活動の周知を図っている。