歌は間違えてもいい!コスプレ声ちゃんが選ぶ昭和アニソン “魂の合唱曲” はこの3曲だ!
12月5日(金)に東京・渋谷の “LOFT9Shibuya” で開催される『昭和アニソン大合唱 vol.1』は、“1970年代のアニメソング” をテーマにした新しい体験型のイベントである。
今回と次回はイベントの第3部、「昭和アニソンDJタイム」でアニソンの名曲を回しまくるDJ、“コスプレ声ちゃん” のインタビューをお届けする。前編は自身の経歴と1970年代アニソンの “魂の合唱曲” について語ってもらった。なお、“コスプレ声ちゃん” の “ちゃん” は敬称ではない。“ちゃん” までがDJネームである。
「まんだらけ」店員がテレビ、映画出演するまで
ーー コスプレイヤーであり、アニソン&特ソンに特化したDJとして大活躍中のコスプレ声ちゃんにとってアニソン原体験はなんだったのか?
コスプレ声ちゃん(以下:声):小さい頃に観ていたアニメで “どの作品が最初か?” と問われると、ひとつ挙げるには難しいですね。ただ、幼稚園のときに大好きだったのは『魔法の天使クリィミーマミ』(1983年)です。太田貴子さんの歌う主題歌もエンディング曲もよく歌っていました。いまだに大好きで、DJでもよくまわしています。
幼少時よりアニソンに親しんでいたコスプレ声ちゃんは、やがて “コスプレ店員” として、その界隈で知られる存在となる。
声:大阪芸大の付属校に通っていたのですが、そこを卒業するタイミングで、アルバイトとして漫画専門の古書店『まんだらけ』の梅田店に入りました。『まんだらけ』は、コスプレ店員と “エプロン店員" といってエプロンを付けて通常業務を行う店員がいるのですが、私はコスプレ店員として応募したんです。しばらくして、コスプレ店員として初めて社員として雇用されることになって、東京に転勤。主に中野店、ときどき渋谷店にも出ていました。
ーー 2000年代のはじめ、写真集やイメージビデオを続々とリリース。また、映画『アイデン&ティティ』(2003年)にも出演。地上波のテレビ番組にレギュラー出演した時期もあった。
声:当時はコスプレ喫茶、メイド喫茶が流行り始めた頃ですね。カリスマ店員という言葉もあって、変わった出し方をしたお店や、店員がフィーチャーされる文化があったんですよね。
アニソン&特ソンに特化したDJに転身
ーー コスプレカルチャーの最先端を走りながら、その後ライフステージの変化もあり、しばらく表舞台から遠ざかる。
声:2009年に結婚してからは、2人の子どもを育てていました。闘病もしていたので、10年ぐらいブランクがあるんです。実は結婚前に3回だけアニソン&特ソンDJをやらせてもらった機会があったんですね。それで、 子育てが落ち着いたタイミングで “また、DJやってみれば” とお声がけいただき、“今度はちゃんとやろう” と思ってDJの勉強をしました。それが6〜7年前のことです。
ーー 本格DJを目指し修行を積みながら、コスプレでレコードを回すスタイルを確立させていった。
声:『まんだらけ』のコスプレ店員には、アニソンをカラオケで歌うという業務がありました。その音源としてレンタルで済ませる人が多かったのですが、私はアニソンが好きだったのでほとんどCDを買っていました。そのぶん、手元にCDはそれなりに揃っていて、ごく初期はCDでDJをやっていました。ただ、自分が好きなアニメや特撮は1960〜1970年代のものが多かったので “やっぱりアナログでやりたい” と思い、レコードを少しずつ買いそろえていきました。
ーー 現在は平均で月に6〜7本はDJの仕事が入るという。
声:都内のバーやイベントスペースに呼ばれることが多いですが、地方にお呼ばれすることもあります。先日は初めて台北で行われた日本のカルチャーのイベントに呼んでいただきました。それに、墨田区の『大道芸術館』というところで自分主催のイベントをやることもあります。
絞りに絞った “魂の合唱曲” はこれだ!
ーー そんなコスプレ声ちゃんに、“魂の合唱曲3選” をピックアップしてもらった。以下は貴方がイベントに参加して、みんなで大合唱するシチュエーションを思い浮かべて読んでほしい。1曲目は、手塚治虫のコミックを原作とした作品の主題歌だ。サビで会場がひとつになる!
▶︎ 魂の合唱曲1
GO!GO!トリトン / 秀夕樹、杉並児童合唱団
・作詞:林春生
・作曲:鈴木宏昌
・1972年4月1日〜9月30日放送『海のトリトン』(TBS系)主題歌
声:私は『海のトリトン』をリアルタイムでは観ていないので、放送当時の熱量は分かりません。でも、この『GO!GO!トリトン』は、長い年月をかけて、多くの人が曲のよさにじわじわと気づき始めて、名曲として認知されたんじゃないかなと思っています。海の上を走るような疾走感があってカッコいいです。
この曲は比較的静かめで、落ち着いた感じで始まります。そこから徐々に盛り上がっていって、サビの「♪GO!GO!トリトン」のところはピークに達します。合唱するとき、この曲は早すぎず、遅すぎず、乗りやすいリズムです。「♪GO!GO!トリトン」を繰り返すパートで会場が一体になるのは間違いありません」
ーー 2曲目はイントロから高まる、合唱の柱に据えたいあの最強曲だ。
▶︎ 魂の合唱曲2
宇宙戦艦ヤマト / ささきいさお、ミュージカル・アカデミー
・作詞:阿久悠
・作曲・編曲:宮川泰
・1974年10月6日〜1975年3月30日放送『宇宙戦艦ヤマト』(日本テレビ系)主題歌
声:この曲には “軍歌の残り香” があるように感じます。1970年代までは、そういう曲作りのアニソンがあって、たとえば『巨人の星』や『空手バカ一代』の主題歌なんかもそうですね。純粋に音楽として考えると、もともと軍歌は、歌う人、聴く人を高揚させるために作られたもので、その特徴が、アニソンでもいい形で生かされたのではないかと。
この『宇宙戦艦ヤマト』も、オーケストラによるスケールの大きな導入で始まり、前へ突き進む感じが具現化されています。その感じと躍動感のあるリズムが噛み合って、カッコいい曲に仕上がっている。合唱するアニソンとしては基本中の基本、名曲中の名曲ですよね。最近、改めて “なんて素晴らしい曲なんだ” と、じわじわ感じ始めています。
ーー そして、原作者・石森章太郎(現:石ノ森章太郎)が生み出したあの名曲が、3曲に選ばれた。
▶︎ 魂の合唱曲3
誰がために / 成田賢、こおろぎ '73
・作詞:石森章太郎
・作曲:平尾昌晃
・編曲:すぎやまこういち
・1979年3月6日〜1980年3月25日放送『サイボーグ009』(テレビ朝日系)主題歌
声:石森章太郎先生が作詞で、作曲が平尾昌晃さん、すぎやまこういちさんのアレンジ。すごいメンバーですよね! 私、“誰がために” と書いて “たがために" と読むということをこの曲で知りました(笑)。これは、DJでかけると必ず盛り上がる曲で、アニソンに興味がある方は、好きな人が多いですね。みんなの魂を揺さぶることができる曲だと思っています。絶対に合唱に向いています。
ーー そんなアニソンを合唱する際の心得について、コスプレ声ちゃんが教えてくれた。
声:自分の趣味で力強く歌いたい曲を3つ選ばせていただきました。アニソンが好きな人は、このあたりの曲は歌詞を覚えていることが多いですが、歌詞は間違えてもいいんです。『昭和アニソン大合唱 vol.1』は着席して歌うイベントですし、気負わずに声を出してほしいですね。回すレコードはカラオケではないので、歌っている方のボーカルも入っています。小さな間違いは誰も気にしません。それがいいところだと思います。
ーー 後編では、“私的神曲ベスト3” 並びに、選考に漏れたが『昭和アニソン大合唱 vol.1』で流すかもしれない1970年代のアニソン名曲についてなど、コスプレ声ちゃんが熱く語る!
《公演概要》
昭和アニソン大合唱 vol.1
▶ 開催日時:12月5日(金)18:00 OPEN / 19:00 START
▶ 出演者:新井ひとみ(東京女子流)、コスプレ声ちゃん、DJ BLUE ほか
▶ チケット:ライブポケットにて前売券発売中
▶ 料金:前売 ¥4,980 / 当日 ¥6,000(税込み)*ワンドリンクオーダー要
▶ 会場:LOFT9 Shibuya(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 1F)
▶ 主催:Re:minder club(昭和アニソン大合唱実行委員会)
▶映像提供:株式会社トムス・エンタテインメント