つまり、それが【10代のルッキズム】 わが子が「どうせブスだから…」「整形したい!」と悩む「裏側の理由」
「どうせ私、ブスだから……」
もし我が子から外見の悩みを打ち明けられ、「整形したい」と言われたら、あなたはどう答えますか?
「人は見た目じゃない」と諭すのか、「体に傷をつけるなんて」と反対するのか、それとも……。
現代の子どもたちが晒されている「ルックス至上主義」は、私たち大人(親世代)が幼かったころとは比較になりません。
SNSや加工アプリ、美容医療の広告に囲まれ、傷つき悩む我が子に対し、親はどんな言葉をかけ、どう家庭を「安全地帯」にすればよいのでしょうか。
いまさら聞けない「ルッキズム(※)」をめぐって、日常に潜むモヤモヤ・ギモンに答える入門書『つまり、それがルッキズム ~23の事例と解説~』の著者で、起業家の前川裕奈さんと、共著者であり現在2児の子育て真っ最中でもあるライターのウィルソン麻菜さんが、エピソードをもとに解説します。
※ルッキズム=「外見至上主義」「容姿差別」
▶画像「整形したい、この気持ちどうする?」を詳しく見る※本記事は『つまり、それがルッキズム ~23の事例と解説~』から一部抜粋し、再構成したものです。
▲「整形したい、この気持ちどうする?」(『つまり、それがルッキズム ~23の事例と解説~』(著:前川裕奈・ウィルソン麻菜)より)
身近になってきた 整形や美容医療
整形や美容医療が、どんどん身近なものになってきた。
クリニックの増加、それにともなう価格競争、そしてSNS。
ビフォーアフターやおすすめのクリニックを紹介するインフルエンサーの存在が当たり前になり、高校生の間では「どこのクリニックがよかった?」など口コミで情報が広がっていくという話も聞く。
そんな環境の中で、麗香のように「自分も」と思う子がいるのは、きっと自然なことだと思う。
広がり方に懸念はあるにせよ、私たちは「整形反対ではない」と伝えておきたい。
自分の責任で決断をした人たちの選択を否定するつもりはないし、私たちだって絶対にしないと言い切るつもりもない。
実際に美容医療が身近な存在になったことで、大事な予定の前には毛穴引き締めにサロンに駆け込むこともできて、大変助かっているのだ。
麗香のお母さんが長年のコンプレックスを整形で解消して「自分が好きになれた」と言っているように、私たちのまわりにも整形で笑顔が増えた人たちがいる。
その上で、麗香の「整形したい」という相談に、お母さんが二つ返事で「いいね!」と言わなかった理由も考えてみたい。
「整形したい」に賛成できない2つの理由
▲「整形したい、この気持ちどうする?」(『つまり、それがルッキズム ~23の事例と解説~』(著:前川裕奈・ウィルソン麻菜)より)
【一つめの理由】
一つは、外側――顔や身体がまだ成長段階であること。
私たちの容姿は、どんどん変わっていく。十代は丸顔だったけれど年齢を重ねて骨格が変わっていったとか、脂肪がなくなっていって二重になった、という話も聞く。
「〝今〟かわいくなりたい!」という気持ちもわかるけれど、整形は基本的に不可逆だ。一度切ったら、削ったら、縫ったら、完全にはもとにもどせない可能性もある。
社会の流行に影響を受けて整形してしまったあと、もしも「かわいい」の基準がちがうものになってしまったら?
【二つめの理由】
二つめが内側――精神的な成熟の問題。
「自分がこの顔になれば生きやすくなる」という感覚は、本当に自分のためなのか、そう「思わされているだけ」なのかを自分だけで判断するのは難しい。
整形依存症に年齢は関係ないし、大人でも社会の決めた美の基準に惑わされることはある。
私たちだっていまだに「これをかわいいと思うのは社会にそう思わされている? それとも自分基準だっけ?」とわからなくなることもある。
スポンジのような吸収力で自分の価値観を形成していく十代は特に、広告やSNSに〝思わされていないか〟考えたい。
だから、麗香のお母さんは聞いたのだ、「どうして?」と。
「整形したい」の向こう側にあるもの
▲「整形したい、この気持ちどうする?」(『つまり、それがルッキズム ~23の事例と解説~』(著:前川裕奈・ウィルソン麻菜)より)
「整形したい」という言葉の裏側には、いったいどんな気持ちが隠れているのか。そこに社会からの圧力や影響はあるのか。そういうものを、お母さんはいっしょに考えようとしている。
「整形したい」の向こう側には、広告の影響や「仲間はずれにされたくない」という友人関係の悩み、「胸が小さいと女性らしくない」というジェンダーの呪いなどが隠れていることもある。
それらをいっしょに紐解いた先に整形があるなら、それもいいと思う。その答えは一人で見つける必要はないんだ。
「きれいになりたい」という気持ちは悪いことじゃない。良くも悪くも情報過多な世の中で、自分の気持ちを大事にしながら、自分らしい決断への道を探してみよう。
「親子の対話」のヒントに
以上、前川裕奈さんとウィルソン麻菜さんによる解説を、書籍『つまり、それがルッキズム ~23の事例と解説~』より一部抜粋してお届けしました。我が子から「整形したい」と切り出されたら、驚きや戸惑いから、つい「まだ早い!」「そのままのあなたが一番だよ」と一方的に返してしまいそうになりますよね。
でも、大切なのは賛否を決めることではなく、子どもがなぜそう思ったのか、その「向こう側」にある気持ちに耳を傾けること。
情報があふれる現代だからこそ、家庭が何でも話せる「安全地帯」であるために、まずは親子で「見た目のモヤモヤ」について対話してみませんか?