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『BABY Q in EZO』向井秀徳、長岡亮介、加藤修平がサッポロシティに揃い踏みーー北海道の地で名曲カバーから新曲まで惜しみなく弾き語り

SPICE

『BABY Q in EZO』 撮影=リョウイチ・カワジリ(オフィシャル提供)

『BABY Q in EZO』 2022.1.9(SUN)PENNY LANE 24

1月9日(日)に、北海道の札幌PENNY LANE 24にてライブイベント『BABY Q in EZO』が開催された。『Q』は、2019年に「CUE=素晴らしい音楽に触れる「キッカケ」に」「休=最高の休日に」という思いを込めて立ち上げられたインドアフェス。去年、東京と大阪と広島で弾き語りメインのライブイベントとして実施された『BABY Q』が、今年は遂に北海道で実現。NOT WONKの加藤修平、長岡亮介、向井秀徳アコースティック&エレクトリックという面子で観ることができた、当日の模様をレポートしよう。

■加藤修平

加藤修平

一番手は加藤。SADFRANK名義でも活動する加藤が、両手にアルコール缶500mlを持ち、右手を乾杯するように掲げて登場。立ちながらアコースティックギターを演奏し、リバーブがかかった音色が深く深く会場に響く。NOT WONKでは英語詞のイメージがあるが、1曲目「手招き」を始め、日本語詞でも歌われた事が何よりも新鮮だった。<もし悲しみが手招きして>という歌い出しもそうだが、日本語でダイレクトに伝わるという事もあり、より歌の強さが感じられた。緩やかに歌っているのに、気が付くと場の雰囲気をしっかりと作り上げている。曲終わりに「ようこそ。よろしく。加藤と言います。苫小牧から来ました」と挨拶をしたが、北海道のイベントで一番手を地元北海道の若者が飾るというのは何だか嬉しい。曲の途中で聴こえてくるシャウトも独特で、動物の鳴き声の様にも聴こえるし、全体的にたゆたう姿に目を奪われていく。

加藤修平

「何だか、たまに自分の作った曲に後から救われる事があって。記憶というか。だから、みんなレコードを作ったらいいのに。そんな気持ちで1曲歌います」と歌われたのは、「SWEET MEMORIES」。続く「Moon River」もそうだが、もう約40年と60年も前の楽曲ということには驚いてしまうし、共に不朽の名作なだけあって、そのメロディーの美しさに、ただただ聴き入ってしまう。何よりも、そんな不朽の名作を自分のものにしてしまい、ギターを爪弾きながら、幻想的な雰囲気に持っていっているのが凄い。

加藤修平

横を向きながら、ゆらゆら揺れながら一歩進んだり一歩下がったりとリズムを取り、声を絞り出す様に「恋やテロ」を歌い、いよいよラストナンバー。普段バンドでやっているので、ひとりで演奏する時間の使い方について触れ、「肌感覚でヤバいかも知れないというのがあるので、最後の曲で終わります」と「肌色」へ。バンドの衝動や疾走というエネルギーとはまた違う吟遊詩人的な軽やかさも感じた気持ちの良い時間。最初と同じく最後もアルコール缶を右手で乾杯の様に掲げて静かに去って行った。

■長岡亮介

長岡亮介

二番手は長岡亮介。小さなノートパソコンを持って登場して、エレキギターをチューニングしながら「まだやらないですよ」と観客に語り掛ける茶目っ気さをみせる。準備が整い、照明も明るくなり、明るい口調で新年の挨拶をして、ペトロールズのナンバー「湖畔」からスタート。座りながら淡々とムーディーに演奏される姿は、最初の茶目っ気さとのギャップもあり、聴き惚れてしまう。続く「LOUNGE LOVER」では、ギターのカッティングでリズムを取る感じも心地よい。歌い声、演奏全てがスタイリッシュという言葉に尽きる。

アメリカのカントリーミュージックシンガーであるグレン・キャンベルのカバーで「Wichita Lineman」を披露する渋さもたまらない。アメリカのウィチタという街の電線工事職人の歌という説明もして、歌詞の和訳も紹介する。こういう何気ない事が、より音楽に興味を持って堀り下るキッカケになるので誠に嬉しい。続いて、アコースティック音楽のジャンルであるブルーグラスの話題へ。北海道大学の学生とブルーグラスの楽曲をコラボした愉快なエピソードも話しながら、ブルーグラスの父であるビル・モンロー「I’m BlueI’m Lonesome」のカバーを披露。この2曲のカバーチョイスは凄く粋だった。

長岡亮介

「何時だろ!? いつも時間オーバーして怒られる!」と時間を気にする様も可愛らしかったし、こちらからしたら、いつまでも聴いていたい思いになる。そんな流れから、アニメ『かなしきデブ猫ちゃん』の音楽を担当した話に。NHKで放送されていることもあってか、『NHK紅白歌合戦』に出演したいという野望を明かしながら、「デブ猫ちゃん音頭」へ。まだ人前で演奏した事も無く、昨日演奏しようと思いついたことなど淡々とクールなままで喋り続けていた。こちらも時間を心配しつつも、楽曲だけでなく喋りも、ずっと聴いていたくなっている。いざ歌われると音頭でありながらも、ムーディーさも持ち合わせた摩訶不思議で素敵なナンバー。本人も「もうやらないかも知れないですよ」という曲終わりに話していたが、本当に貴重な楽曲を聴けたという思いでいっぱいになる。そして、ラストナンバー「雨」まで、リズムを取りながら楽しく聴いていく。ついつい指を鳴らしながら、体も揺らして、心から満喫できた。

■向井秀徳アコースティック&エレクトリック

向井秀徳アコースティック&エレクトリック

三番手、いわゆる大トリは向井秀徳アコースティック&エレクトリック。自ら楽器をセッティングしていく公開リハーサル。この時点でワクワクとドキドキがたまらない。「MATSURI STUDIOからやって参りました。This is 向井秀徳!!」というお馴染みの前口上から始まり、「6本の狂ったハガネの振動」へ。ラップ的な独自のリズム感でリリックが繰り出されるが、サビはメロディアスであり、その緩急の付け具合だけでニヤついてしまう。「フェイドアウト!」という一言での締めも痺れる。1曲終わるごとにクッションとして繰り返される「MATSURI STUDIOからやって参りました。This is 向井秀徳!!」もたまらない……。

向井秀徳アコースティック&エレクトリック

すっかり虜になってしまっているし、始まってからも「ボーカルを薄く上げて下さい」や「場内を少し明るくして下さい」などスタッフに指示を出していく模様はリアルで、その過程を観られることにも興奮してしまう。「SAKANA」ではルーパーを使って、その場でギターの録音を重ねてトラックを作り上げる。全てを今現在という時間で作り上げていくのは、やはりリアルでしかないし、それを目の前で目撃できていることが幸せでしかない。

向井秀徳アコースティック&エレクトリック

そんな目撃感がMAXに達していったのは、次からの流れだ。3曲目「ZEGEN VS UNDERCOVER」。ナンバーガールが2000年に発表した楽曲であり、2002年に行われた解散ツアーのラストライブである札幌PENNY LANEでも披露された楽曲だ。2019年の再結成発表時に一番初めに発表されたライブも、ここ北海道の『RISING SUN ROCK FESTIVAL』。残念ながら、その年は台風で中止になっただけに、ここ北海道でナンバーガールの楽曲が聴けるというのは、何とも言えないくらいにエモーショナルで特別な気持ちになってしまう……。会場にいた全ての人が同じ気持ちだったに違いない。そして、昨年の日比谷野外音楽堂で行われたナンバーガールのライブでも鳴らされた未発表の新曲「排水管」へ。メロウなギターリフでありながら、エッジも聴いていて、鋭く鋭く進んでいく。<真冬の匂いが>という歌詞が、この北海道にもマッチして、ひたすら、その音に没頭できた。

向井秀徳アコースティック&エレクトリック

座りながらの弾き語りで、こちらも座って聴いているのに、その熱量で全てが飛んでいる感覚に陥る。それくらいの凄みがあった。情念、情感、情緒全てがグッチャグッチャになっていく中で、「夕焼け小焼け」のカバーだが、もはや向井秀徳オリジナル楽曲としか言えないくらいの迫力をぶちかまされる。最後に松鶴家千とせの「わかるかなぁ、わかんねぇだろうなぁ」という名フレーズが呟かれたのも、流石としか言い様が無い。ナンバーガールの「OMOIDE IN MY HEAD」は、先述のラストライブ模様が収録されたライブアルバム『サッポロOMOIDE IN MY HEAD状態』を思い出さざるをえず、ただただ感無量になる。ラストナンバー「はあとぶれいく」が終わり、「サッポロシティ! This is 向井秀徳!!」と発して〆。ギタースタンドに掛けていたマスクをつけて、一礼して袖へと消えていく。

向井秀徳アコースティック&エレクトリック

アンコールは向井の「今日の出演者全員で演奏したい!」という言葉通り、向井の両隣りにはエレキギターを持った長岡と加藤が陣取る。「サッポロシティの貴様に伝えたい、俺のこのキモチを」と言い放ち、「まさか野郎三人で、この曲をやるとは思いませんでしたね。いきましょう!」から、もちろん「KIMOCHI」へ。向井いわくクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングを彷彿とさせる横並びな佇まいは、むちゃくちゃかっこよすぎた。   

「サッポロシティ!」という向井の言葉で終幕した『BABY Q in EZO』。この続きは、三人と縁深い『RISING SUN ROCK FESTIVAL』でも観れたら感慨深いなと勝手ながら思ってしまう。とにかく北海道はサッポロでの『BABY Q in EZO』は最高に素晴らしかった。

取材・文=鈴木淳史 撮影=リョウイチ・カワジリ(オフィシャル提供)

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