【徹底解説】ゲストが物語に迷い込む「イマーシブ・フォート東京」。東リべ、推しの子、R18指定アトラクションも!
東京・お台場に「イマーシブ・フォート東京」が、2024年3月1日(金)に開業しました。
世界初のイマーシブ・テーマパークを謳う同施設。
なぜ今「イマーシブ」が新たなエンターテイメントとして求められているのでしょうか。
物語の世界に入り込む「イマーシブ」って何?
イマーシブとは「没入」を意味する言葉。
自分が別世界に入り込んだかのような体験ができるのがイマーシブです。
欧米では浸透し始めている新しいエンターテイメントの姿ですが、日本でも近年になって急速に拡大しています。
最近日本で多く見られるイマーシブと銘打ったものでは、美術展が多く開催されています。
床から天井までスクリーンで囲い絵の世界に没入できる美術展で、ゴッホやマンガの絵に入り込んだかのような感覚になれる、新感覚であり写真映えもすることでブームの兆しが見えます。
イマーシブ・フォート東京は、イマーシブの中でも「イマーシブ・シアター」を中心にしたテーマパーク。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで「ホテル・アルバート」シリーズを作り、早い段階でイマーシブ・シアターを日本に持ってきたクリエイティブが、イマーシブ・フォート東京を手掛けています。
VR時代に求められる理由とは
VRはどんどんと進化を遂げ、Apple Vision Proが発売されるなど、MRという形で生活に溶け込もうとしてきています。
エンターテイメントの世界でもVRは進歩してきており、多くのテーマパークやアミューズメント施設でVRアトラクションがあります。
VRでは簡単には行けない場所や、はたまたこの世に存在しない世界に行くこともでき、RPGのように自らが主人公となって物語を進めることもできます。
小説を読んだり、映画を観たり、ゲームで遊んだり。
エンタメを通じて、現代人は別世界にいる感覚を味わったり、日常生活を忘れてリフレッシュしたりしています。
VRといった媒体では、より五感を用いた人間の錯覚を利用しており、物理的にあり得ない動きでも本物だと思ってしまうような感覚に陥ります。
これが新たな没入体験として、人々を魅了しているのです。
未来では、家のテレビをつけて映画を観たりゲームをしたりする感覚で、別世界へワープしたような感覚になることが、日常生活にあるリラックス体験になることでしょう。
しかし、技術革新が進んでいるとはいえ、まだまだVR機器がどの家庭にもあるとは言えませんし、体験できる世界観にも限度があります。
将来的には、家でメガネをかけるだけで別の世界に入り込み、匂いや触感まで体感できるようになるかもしれません。
それまでしばらくの間は、現実世界上に作られたセットの中で、匂いも触感もある中を歩き回り、本物の人間として物語に没入する方が、よりリアルに感じられます。
この時代を先取りした体験ができるのがイマーシブなのです。
これまでのテーマパークとどう違う?
世界初のイマーシブ・テーマパークと銘打つイマーシブ・フォート東京は、これまでのテーマパークとは何が違うのでしょうか。
イマーシブ・フォート東京は、色々なアトラクションやショーが用意されています。
例えば、「パーティー・フェスタ! 」というショーでは、出演者の歌唱や演奏、ダンスに合わせて、観ているゲストも手拍子で楽しみます。
これだけならどこのテーマパークにもありがちです。
イマーシブなショーでは、ダンサーが観客を選んでステージに上げて、ゲストも出演者のようにショーに参加します。
このように、ゲストもダンサーも垣根を取り払ったように出演者になるのが、イマーシブ・テーマパークの特徴です。
ホラーアトラクションの「ジャック・ザ・リッパー ホワイトチャペルの殺人鬼」では、ゲストが切り裂きジャックの標的となり、襲ってくるジャックから逃げるように進んでいきます。
幽霊が現れてそれに驚くお化け屋敷と、切り裂きジャックに認知され追われるイマーシブの違いがあります。
とはいえ、これだけなら従来のテーマパークの中にもいくらかは存在します。
イマーシブ・フォート東京は、多くのアトラクションがイマーシブ体験になっていて、そのバリエーションの豊かさが魅力なのです。
イマーシブ・フォート東京でできること
イマーシブ・フォート東京には、色々なジャンルのイマーシブ体験が揃っています。
イマーシブがよくわからない初心者から、何度も訪れるリピーターまで、幅広い層がイマーシブを体験できます。
先ほど説明した「パーティー・フェスタ! 」や、突然街中でスパイとマフィアの抗争に巻き込まれる「スパイ・アクション! 」といったショーは、ただ観ているだけでも楽しめ、指名されたらショーに巻き込まれて楽しめるもの。
指名されたゲストは半強制的にショーに取り込まれていくため、初心者でもイマーシブがどういう体験かがわかります。
食事をしながら観られるショー「ザ・キャバレー」や、LINEを使ったラリーゲーム「【推しの子】 イマーシブ・ラリー」、第五人格とコラボし鬼ごっこのように制限時間内で動き回る「第五人格 イマーシブ・チェイス」といったアトラクションも楽しめます。
これらは入場料だけで楽しめるコンテンツですが、より深くイマーシブを体験するなら、有料アトラクションがおすすめです。
有料アトラクションは、入場チケットとセットで購入するか、別売りの体験チケットを購入することで参加できます。
購入時に参加する時間も指定するので、どれを体験するかを事前にスケジューリングすることが肝心。
3つの有料アトラクションの内容と、どういったイマーシブ体験ができるのか、ご紹介していきます。
自らの行動で物語の解像度が変わる“考察”捗るイマーシブ・シアター
ザ・シャーロック THE SHERLOCK -ベイカー街連続殺人事件-
イマーシブ・フォート東京で最大のアトラクション。
2フロア約3000㎡を丸ごとアトラクション空間にし、ゲストが自由に動き回れる、これまで体験したことのない規模のアトラクションです。
広大な空間に19世紀のロンドンの街を再現。
シャーロック・ホームズやワトソン、レストレード警部などが活躍するベイカー街の中を歩き回れます。
そこで起きるのは、ある失踪事件と連続殺人事件。
48キャラクターもの出演者が登場し、各地でやりとりが繰り広げられます。
ゲストは出演者から認知されない“アノニマス”として存在し、キャラクター同士のやり取りに関わることなく目の前で物語を楽しめます。
演劇を舞台上で観ているような、これまでにない体験です。
さらに、広大な空間で48人が各地でストーリーを展開していくため、ゲストが全てのやり取りを見ることは不可能。
シャーロックを追いかけて彼の推理を見ていっても良いですし、事件の概要が掴めたら怪しい人物を追いかける方に切り替えるのも自由。
はたまた、バーで飲みながら、訪れる人物のやり取りに聞き耳を立てることもできます。
48人ものキャラクターがいて、そこに180人ものゲストが歩き回っている様子は、他で見られない体験。
自由に歩き回っていたら、殺人事件の目撃者になってしまうかもしれません。
どの行動を取るかは全てゲストの自由ですし、その選択によって見える物語が変わってきます。
何度も体験して、色々な角度から物語を見つめることができます。
グループで行くなら、別行動を取るのがおすすめ。
自ら動かなければ何も理解できませんし、一緒にいる人と会話したりわちゃわちゃできるアトラクションではありません。
それぞれが好きに動き回り、体験し終えた後で、それぞれどんな物語を見たのか共有すれば、考察が捗ることでしょう。
キャラクターと協力する新たな脱出ゲーム
東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ
「東京リベンジャーズ」の世界に入り込めるイマーシブ・シアター。
東リべのファンにおすすめなのは当然ですが、東リべを全く知らないという人でも問題なく楽しめます。
ゲストは東京卍會と新興不良勢力の抗争に巻き込まれ、自分や仲間の命を守るために約1時間の脱出ゲームに挑みます。
これだけなら普通の脱出ゲームと変わらないようですが、イマーシブ・エスケープでは2フロアを使った空間を自由に行き来しながら、リアルなセットの中で謎解きができます。
さらに、タケミチやヒナタなどの人気キャラがキャストとして登場。
東京卍會メンバーもゲストと一緒に謎解きに参加しており、ゲストに話しかけてくれ一緒に謎を解く手助けをしてくれます。
リアルな物語世界の中で、キャラクターと会話し、ゲストの行動が物語を動かしていく体験。
物語にイマーシブな形で参加できますが、謎解きという誘導のおかげで、キャラクターとの会話が自然にできます。
演技力もアドリブ力も必要ないのに、演劇にアドリブで参加しているような感覚になれるイマーシブ・エスケープです。
キャラクターと触れ合い物語が変化する 最強のイマーシブ・シアター
江戸花魁奇譚
江戸時代にタイムスリップし、江戸遊郭を歩き回るイマーシブ・シアター。
入場料にプラス9000円という体験パスを販売している、イマーシブ・フォート東京の中でも最高級のアトラクションです。
チケット代が高いだけあり、他アトラクションにはないイマーシブ体験ができます。
遊郭が舞台で、キャラクターと実際に“触れ合う”ことも。
R18指定の濃密な体験です。
人によって全く別の体験が待ち受けており、同じ人が別の回を訪れても別の展開が待っています。
自分の行動で物語の結末すら変わる可能性があり、織りなす物語は100パターン以上にもなるそう。
かなり濃密なイマーシブ体験になる分、参加する側も物語に入り込む姿勢が重要です。
「パーティー・フェスタ! 」のように眺めているだけでは全く没入できないでしょう。
初心者がいきなり体験するのはあまりおすすめできません。
色々なイマーシブアトラクションを体験していき、イマーシブへの参加姿勢がつかめれば、「江戸花魁奇譚」も存分に没入できるでしょう。
世界初を謳うイマーシブ・テーマパーク。
ジェットコースターはないですし、数十個のアトラクションがあるわけでもありません。
受け身では面白くないであろうアトラクションもあります。
参加者側がハードルを越えなければ楽しめないからこそ、今までのエンタメ界には存在できなかったのかもしれません。
だからこそ今まで味わったことのない体験があるテーマパークです。
(ウェルなわたし/林田 周也)