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[Alexandros]川上洋平、レオナルド・ディカプリオ主演のブラックコメディ『ドント・ルック・アップ』について語る【映画連載:ポップコーン、バター多めで PART2】

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撮影=河本悠貴 ヘア&メイク=青山志津香(vicca)

大の映画好きとして知られる[Alexandros]のボーカル&ギター川上洋平の映画連載「ポップコーン、バター多めで PART2」。今回は、アダム・マッケイ監督による社会風刺を効かせたブラックコメディであり、レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープといった豪華なキャスト陣も見どころの『ドント・ルック・アップ』について語ります。

『ドント・ルック・アップ』

おもしろかったですね! ストーリーがすごくおもしろくて。ほぼ前情報なく観たんですけど、予告の雰囲気からなんとなくホワイトハウスの大統領の執務室だけで完結するような1シチュエーションのブラックコメディなのかなと思ってたらいろんなシチュエーションがあって。ロケットを宇宙に飛ばしたり、NASAが出てきたり、割と壮大な話で。スケールのデカいしっかりした映画なんだっていうところにまず驚きました。

『ドント・ルック・アップ』より

■レオナルド・ディカプリオの地味な教授役に惚れ惚れしました

出演者がすごく豪華で、アリアナ・グランデも出てるんですけど、特に主演のレオナルド・ディカプリオの演技が良かったです。僕としてはレオナルド・ディカプリオってすごく大きな演技をする人という印象があって。そのスタイルを変えずに、『レヴェナント』で初めてアカデミー賞の主演男優賞を取ってすごいなと思ったんですよね。受賞スピーチでやっとアカデミー賞を取れたことに対する感謝を述べるだけじゃなくて、環境問題の話もぶっこんできてさすがだなと思ったり(笑)。プリウスに乗ってたぐらいですからね。
でも、『ドント・ルック・アップ』では地味な天文学者の教授の役なんだけど、結構抑えめな演技で惚れ惚れしました。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でブラッド・ピットがスタントマンの役を演じてアカデミー賞を取った時に、「抑えめの演技が良かった」みたいな評価もあって。かつてはブラッド・ピットも『12モンキーズ』とか『ファイト・クラブ』とか癖の強いノリが前に出てる時期もあったけど、静かめな演技で初めてアカデミー賞を取った。今回のディカプリオの演技にはそれに近いものを感じました。

『ドント・ルック・アップ』より

■役者としてのすごさを見せつけられた


相手役がジェニファー・ローレンスって聞いて、ディカプリオが大きな演技をしてジェニファー・ローレンスが抑え目なのかなと思ったら逆で。ディカプリオが彼女に対し、「まあまあまあ」って抑えるような、一歩引くような役だったのが意外でした。でもそれがすごく良かったです。感情を爆発させる場面もあって、あそこだけ唯一「ディカプリオ来た!」みたいな(笑)。今回でさらに好きになりました。だって、この教授ってオタクっぽいっていうか、いわゆる陰キャだと思うんですけど、それをアイドルみたいなみんなの王子様キャラから始まって主役らしい主役しかやってこなかったディカプリオがある種淡々と演じていて。影が薄いんだけどちゃんと感情移入できる。マーティン・スコセッシの『ウルフ・オブ・ウォールストリート』では「もうレオナルド・ディカプリオ!」って感じがありつつ「こんなことまでやっちゃうんだ!」って驚きがあったけど、そことはまた全然違う「こんなこともできるんだ!」っていう驚きがありました。役者としてのすごさを見せつけられた。これがブラッド・ピットだったらちょっと無理があったんじゃないかな。だってブラッド・ピットってすごくかっこいいんで、特殊メイクとかしないと厳しいんじゃないかなって。
日本の役者さんだったら山田孝之さんとかもそうなのかもしれないですね。ディカプリオとは10歳ぐらい違うけど、昔は爽やかなイケメンキャラだったのに幅がすごい。だから、最初はストーリーのおもしろさに引き込まれて、でもあとでよくよく考えたら、「あれディカプリオだよな」っていう興奮を感じました。

『ドント・ルック・アップ』より

■他の惑星に行くような壮大さもあるんだけど、こじんまりとした印象がある


メリル・ストリープもすごかったです。アカデミー女優といえば!みたいな人なのに、「こんなことまでやっちゃうんだ」って。あと、ワイドショーみたいな情報番組の司会者役のケイト・ブランシェットが最高でした! 最初ケイト・ブランシェットってわからないくらいメイクが濃くて。「めちゃくちゃ顔変わった?」って思ってびっくりしたんですけど、ただの特殊メイクで良かったです。僕ケイト・ブランシェット結構好きなんで(笑)。すごく良い役だったしかっこよかった。
それとマーク・ライランスも素晴らしかった。イーロン・マスクみたいな存在の役で出てて、顔はマーク・ライランスのままなんですけど、喋り方も表情も役にすごく入ってて最初わかんなかったですね。だから役者さんってすげえなって思いましたね。
これだけの役者陣がそういうお芝居をしているからというのもあるかもしれないですけど、なんか舞台感があったんですよね。だから僕が予告を観て感じた感覚もあながち間違ってなかったっていうか。他の惑星に行くような壮大さもあるんだけど、なんかこじんまりとした印象がある。
彗星が衝突して地球が終わるみたいな映画って割とあるけど、最後の最後まで政府がパニックにならないところもおもしろかったし、終わり方もすごく好きでした。エンドロールのあとまで観てくださいっていう。

『ドント・ルック・アップ』より

■アメリカにおける環境問題への警鐘や政治問題やネット社会が描かれている

アメリカにおける環境問題への警鐘とか政治問題とかネット社会が描かれていて、日本人には全部理解しきれないところもあるんだろうなって思いながら、ディカプリオがこの映画に出て一番伝えたかったのは環境問題への危機意識なんだろうなって。あのケイト・ブランシェットが司会をやってるワイドショーみたいな情報番組も、アメリカにはああいう三流のバラエティーチックな報道番組があったりするのかなって。日本にも似たような匂いを感じる番組もありますけどね。

『ドント・ルック・アップ』より

■コメディが得意な人が描くシリアスな題材の作品ってすごく辛辣で的を得てる

アダム・マッケイっていうと、『バイス』も『マネー・ショート』も『アントマン』も『俺たちニュースキャスター』の1と2も好きですね。『ドント・ルック・アップ』は『俺たちニュースキャスター』シリーズがすごく活きてるのかなって思いました。あと『アザー・ガイズ』がすごく好きです。マーク・ウォールバーグとウィル・ファレルが刑事役で凸凹コンビの映画で、かなりのコメディなんですけどおもしろかった。
コメディが得意な人が描くシリアスな題材の作品ってすごく辛辣で的を得てるって思いましたね。『アス』とか『ゲット・アウト』のジョーダン・ピールも元々コメディアンですもんね。ジョークって人間の情けなさの真ん中を捉えるからくすぐったかったりドキッとするんだろうなって。『ドント・ルック・アップ』は登場人物みんなに対して人間の情けなさが感じられて。でもそこも笑えるよねっていう絶妙さがありますよね。アダム・マッケイはその辺がよくわかってるなって。客観的にそれぞれの人間観察ができるような楽しみ方もできるし、うまいですよね。


取材・文=小松香里

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