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TVアニメ『スナックバス江』リレーインタビュー③ 小雨役・宮本侑芽

Febri

TOPICS2024.01.05 │ 12:00

TVアニメ『スナックバス江』リレーインタビュー③


小雨役・宮本侑芽

北海道最大の繁華街「すすきの」から5駅離れた「北24条」にある小さなスナックを舞台に、人生経験豊富な従業員とクセの強すぎる客たちが夜な夜な繰り広げる、プログラムのないショー。そんな『スナックバス江(以下、バス江)』のバス江ママ、チーママの明美に続く第三のヒロイン(?)である小雨を演じる宮本侑芽に、今作の芝居へのこだわりを聞いた。少々意外なスナック談義も!

取材・文/前田 久

インタビュー_TOPICSスナックバス江声優宮本侑芽

最初は「しっかりした子だな」と思っていたけれど……

――小雨はスナックの新人アルバイトですが、演じる宮本さんはこれまでスナックに行ったことはありますか?
宮本 じつは2年くらい前に、たまたまこの作品と関連のない流れで行ったことがあったんですよ。別の作品のスタッフさんに「スナックって行ったことある?」と聞かれて。お酒も好きだし、興味があったので、連れて行っていただいて、お店のママと一緒にピンクレディーを歌ったりしました。昭和の曲が大好きなので、お店のママや常連さんたちと一緒に盛り上がれたのがすごく心地よくて、楽しかったです。

――となると、もうこの作品に出演するべくして出演した感じですね。小雨という役には、どんな印象を持っていますか?
宮本 ギャグマンガのツッコミポジションだけど、ガツガツとはいかずに一歩引いて明美とママたちの会話を見ている。客観視のできている、しっかりした女の子だな……と思って最初は原作を読み進めていたんです。この作品の中では常識人かもしれないな、と。でも、だんだんと「あれ? ちょっとおバカな部分があるかもしれないぞ?」と思うようになって(笑)。だからアフレコ前の役作りでは、あまりしっかりしていない、少し抜けたところがある女の子を目指しました。

荒ぶるシーンでも心はフラットに

――演じていて、小雨のどんなところが魅力的だと思いますか?
宮本 抜けているところに加えて、トゲがないところですね。ツッコミを入れつつも、愛がある。お客さんを決して邪険に扱わない。どこか言動に優しさがあるのが好きです。実際に演じているときも、ツッコミを入れすぎると、常連さんたちも明美たちも楽しめなくなってしまうので、ツッコミながらも、その場の笑いの空気を乱さないことを強く意識しています。

――いきなりものすごい勢いでお酒を飲み出したり、思わぬ行動に出てまわりを驚かせることもある小雨ですが、その部分と先ほど聞いたような優しさ、柔らかさとのギャップはどのように考えていますか?
宮本 その塩梅はたしかに難しいです。私としては、破天荒な子ではないと思っているんですよ。普段、落ち着いている子の挙動が少しおかしくなると、それだけでインパクトが出る、ということなのかなと。だから、あまり激しくならないように、むしろそういうときでもセリフの印象はなるべくフラットになるように、とにかく気持ちを安定させながら演じています。そこに乗ってくる映像や動きのおかしさとの取り合わせから面白さ感じ取っていただけるとうれしいです。

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『バス江』の笑いは「引き算の笑い」

――『バス江』という作品のアフレコならではと感じることや、注意している点はありますか?
宮本 これまでそんなにギャグアニメへの出演が多くなかったこともあって、ギャグアニメの現場といえば、激しくボケてツッコんで……を繰り返すイメージがありました。でも、資料としていただいた(小雨が登場する前の)第1話の音声入りの素材を見ていたら、むしろ「引き算の笑い」みたいな雰囲気を感じたんです。シュールなツッコミと笑いによって生み出されているテンポ感で、まさに本当にスナックにいるような空気を感じたというか。ガツガツと早いテンポで笑いを取りに行かないところは『バス江』ならではだと思いますし、演じる上での注意点でもあると思っています。

――勢いで持っていくタイプの「笑い」ではない。
宮本 そうですね。鋭いボケに、同じ勢いでツッコミを入れてしまうと、ボケが成立していないと感じるときもあるくらいです。ときどき、そういう激しいやりとりを明美だとか、他のキャラクターがするときもあるんですけど、小雨ちゃんはその破壊力のあるムードに流されないように気をつけて演じていました。相槌もそうですね。

――相槌?
宮本 小雨ちゃんって、相槌がドライなんですよ(笑)。自分から常連さんに話を振っておいて、それに対して「あ、そうなんですね」って返すとか。「ホントにこの子、聞いているのかな?」と思うくらい冷淡な相槌が多くて。

――ああ、たしかに。原作でもその印象はあります。
宮本 でも、実際にスナックに行ったとき、ママさんが「あ、そう」「はいはい」みたいに淡々と聞いてくれるだけで、十分うれしかったんですよね。小雨ちゃんのそういうところに「スナックらしさ」を入れてみようかなと思って、相槌は意識的に冷めた感じにしています。相手の話を受け止めすぎないというか、吸収する力がない風にするというか。小雨ちゃんは新人ですし、包容力は明美とママにまかせればいいかな、と。「ちょっとまだ慣れてないのかな?」みたいな雰囲気も意識して、そういうシーンを演じています。

ぜひ流行らせたい、あのフレーズ

――バス江にやってくるお客さんは個性派揃いですが、強く印象に残っているキャラクターはいますか?
宮本 風間先輩です。福島潤さんとはこの作品で初めてちゃんとお会いしたんですけど、思った以上に雰囲気が風間先輩っぽくて。風間先輩が登場してから『バス江』という作品の持つ可能性がさらに一段階広がったような印象があります。どこにも絶対いないはずなのに「もしかしたらいるのかも……?」と感じさせる、不思議な「サラリーマン力」が福島さんのお芝居にあるんですよね。いつか風間先輩とかけ合いがしたいです。あと、印象に残ったといえば……ピンキーユニコーン!

――また素晴らしいところを(笑)。
宮本 たまらないです。すごくフォルムがかわいらしいのに、実態はみんなの闇に潜んでいる存在。なんとも愛くるしくて、大好きですね。キャストのみんなで「ピンキーユニコーンが見え出した!」と言い合って、日常使いしています(笑)。

――フレーズの強い作品だけに、現場で流行った言葉は他にもありますか?
宮本 そうですね。「三顧の礼!」とかは、みんな使いどころはわかっていないような気がするんですけど、「とりあえず言っとけば面白い」みたいな状態になっています(笑)。ぜひ、視聴者の皆さんにも使ってほしいですね。

――本作の見どころのひとつとして、各話のエンディングにキャストの皆さんのカラオケが流れるそうですね。実際のスナックに行ったときには盛り上がったと聞きましたが、『バス江』ではいかがでしたか?
宮本 歌うことは大好きなので楽しみにしていたんですけど、大先輩方に見ていただきながら、面と向かってマイクを持ってアフレコブースで歌うのは、めちゃくちゃ緊張しました。きっと、あとにも先にもないですよね、こんなシチュエーション(笑)。とても貴重な経験をさせていただけました。あとそう、小雨として歌うのもけっこう難しかったですね。性格を考えると、あまり歌い上げる感じでもなければ、浸るわけでもないと思ったので「とりあえず場つなぎのために歌うか」みたいな感じを出してみました。どんな仕上がりになっているか、そちらも期待していただけたらうれしいです。スナックに行ったことがある方も、ない方も、スナックに足を運ぶ感覚で、ぜひお酒と一緒に「スナックバス江」を楽しんでください。

宮本侑芽みやもとゆめ 1月22日生まれ。福岡県出身。劇団ひまわり所属。主な出演作品に『SSSS.GRIDMAN』(宝多六花役)、『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』(神野銘役)、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(ニカ・ナナウラ役)、『AIの遺電子』(樋口リサ役)など。リレーインタビュー第4回に続く作品情報

TVアニメ『スナックバス江』
2024年1月12日(金)よりTOKYO MX他にて放送開始!

©フォビドゥン澁川/集英社・「スナックバス江」常連一同

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