【小受の新常識】“お母様”呼びは絶滅危惧種! 小学校受験にまつわるネットの噂を徹底解説!
「お母様、お父様呼び」や「ゲーム禁止」はもう古い! 令和のお受験では“パパ・ママ”呼びが当たり前に。「親の学歴問題」や、「子どもが漢字で記名」など、お受験にまつわる噂の真偽とは? 6000人以上の子どもたちを指導してきた塾講師とお受験経験者の本記事ライターが徹底解説します。
【画像を見る➡】驚きの効果! 5歳児に「16タイプ性格診断」を試したら小学校受験では、その実情があまり公表されていないことから、さまざまな噂が独り歩きしています。面接時は「お父様、お母様」と子どもに呼ばせなくてはいけないのか、試験までに名前を漢字で書けた方がいいのかなどが、その一例です。
塾講師・宮澤裕介(みやざわゆうすけ)先生と、息子の小学校受験を伴走してきた本記事ライターの経験談から噂の真相に迫ります。
令和のお受験新常識は“ママ”でOK!
1994年にTBS系列で放送され、布施博さんと山口智子さんが出演した『スウィート・ホーム』というテレビドラマがありました。子どもたちの小学校受験をめぐるコメディー作品です。その印象が残っていた筆者は、「お受験=お父様、お母様呼び」という固定観念がありました。
「昔は“お父様・お母様”呼びが徹底されていました。でも、教育者の世代が変わり“パパ・ママ”呼びで育った先生も多いですから、今は“パパ・ママ”など、各家庭の呼び方で問題ないと考える試験官が増えています。
呼称の変化は他にもあります。昔は“ピンク”ではなく“ももいろ”と言っていましたが、今はわざわざ日本語に言い換える必要はなくなっています」(宮澤先生)
時代の流れとともに、家庭内での呼称は一般的なものであれば、面接で重要視されなくなりました。小学校受験の試験内容も個人能力から協働・非認知能力を問うものへ変化したように、今がどんな時代かを考えて対応していくことが大切です。
これが本当の小学校受験! ネットや口コミで広がる噂の真偽を解説!
ではここからは、お受験にまつわる噂の真偽について解説していきましょう。
名前を漢字で書く
× ただし、ひらがなは読めた方がいい
アニメやゲーム禁止
× ルールがあれば取り入れるのは可
親の学歴は必須
△ 父親の学歴が重視される場合がある
シングル家庭は受からない
△ 特に国立は重要視されない場合が多い
幼稚園出身じゃないとダメ
× 保育園出身という理由で不合格にはならない
早生まれは不利
△ 幼稚園受験と違い、考慮しない小学校が大半
試験で泣いたら落ちる
△ 泣いた理由とそのあとの気持ちの切り替え方が重要
園への出席日数が合否に左右
△ 受験校によっては提出が求められるので事前に確認
ペーパーに解答以外の印を書いてはいけない
× 消去法などを駆使するため印を書き込んでも構わない
ペーパーを1日100枚やる
○ 努力ができるようになった証として実施する家庭多数
ひらがなに関して、試験では記入が求められないので書ける必要はありませんが、「読めた方がいい」と宮澤先生は言います。
「小学校1年生で習うひらがなや漢字は試験に出ないのが暗黙の了解です。ですが、しりとりやものの名前などが試験で問われる場合があります。
たとえば、口頭質問で“ひまわり”の絵を見て、“上から2番目の文字はなんでしょう”という問題が出るとします。
でも、「ひまわり」という花の名前わかっても、上から2番目の「ま」を音で想像するのと、文字で認識できるのとでは、難易度が大きく変わります。
学校側も“ひらがなは読める”という暗黙の了解の元、試験問題を作成する場合があります。また、小学校にはひらがなを前提とした掲示物が多く見られます。そのため、入学後にひらがなを習得すれば良いという考えでは、試験突破は難しいでしょう」(宮澤先生)
続けて、「試験で泣いたら落ちる」という項目については、「ケンカや思い通りにならないからといった理由で泣いたら落ちると思います。ですが、転んでケガをしたなど、仕方がない場合もあります。泣いたあと、どう気持ちを立て直すのか、試験ではそこが見られます」と宮澤先生は解説します。
また、筆者の受験仲間内で「ゲームやアニメを禁止している」という家庭は皆無でした。子どもたちはゲームもアニメも、スマホも大好きです。各家庭独自に設定された“お約束”を守ることは、受験対策のひとつにつながります。
最後に、「ペーパー1日100枚」という項目について。多くの塾では、これをひとつの目標として掲げています。筆者の息子も夏休みにチャレンジしました。
1枚に1〜4問程度とはいえ、園児にとっては膨大な量の問題数です。経験からいって達成感が得られる、子どもの自信につながることは間違いないので、長期休み期間中に挑戦することをおすすめします。
受験に強いのは「努力できる子」!
小学校受験に“強い子”はどういう子どもなのでしょうか。
「“頑張れる子”は受験に強いといえます。人の指示を聞けたり、自己主張ができたり、性格が違う子どもの中で合格している子に共通している点を挙げるなら、“努力をして自分を変えた経験”があるかどうかです」(宮澤先生)
特に小さいころは、頑張り方に男女差が。個々の“やる気スイッチ”の入れ方に正解はありませんが、おおよそのパターンはあります。 写真:アフロ
「女の子は、指示されたことに納得ができると自然と頑張れます。ただ、最初の伸び率が高いのですが、途中で伸び悩んでしまうというのが女の子に多い特徴です。
一方で男の子は、大袈裟といっていいほど褒めて持ち上げると、疑問を持たずに頑張って続けることができます。ただし、“やめなさい”と言っても止まらなかったり、暴走や脱線したりしやすいところがあるので注意しましょう」(宮澤先生)
子ども自身の経験が試験での“対応力”に直結する
小学校受験特有の試験科目「行動観察」では、同じ試験会場にいる子どもたち次第で状況が大きく左右されます。
すごく乱暴な子がいたときにどう対応するか、泣いている子へどう声をかけるのかなど、正解がひとつではないために、子どもの頑張りや事前準備だけでは乗り切れない設計になっています。
プロが教えるテクニックのひとつ。子どもは、手を差し出されると条件反射的にその手を取る傾向があります。 写真:Hakase/イメージマート
「その場に応じた対応力は確かに大事です。ただし、対応力を養うには、本人に経験をさせる必要があります。
たとえば、泣いているお友だちに声をかけられる子は、自分が泣いていたときに声をかけられたことがある子ですし、お友だちを誘える子は誘われた経験がある子です。
どうしても我が子が周囲に声をかけられない場合は、手のひらを上に向けて相手に差し出すことを教えてみましょう。そうすると、差し出された子どもの何割かは、その手の上に自分の手を重ねてきます。それが成功した場合のみ、手をつないで誘えば良いのです。
声をかけるというファーストステップが苦手でも、手を差し出すだけならばハードルは低くなります。
公園でも遊び場でも、知らないお友だちに実践し成功すれば、それがその子にとっての経験値になる。こういう体験の積み重ねが、対応力へと変換されるのです」(宮澤先生)
知らない子どもたちが集まる中でどういう行動を取るのか、それは日々の経験の積み重ねです。どんな小さなことでも、成功も失敗も、さまざまな体験をしておくことは、受験だけでなくそのあとの成長にも欠かせません。
小学校受験を「経験」で終わらせず「将来」につなげよう!
筆者が経験した小学校受験は、大変な日々の連続でした。塾の帰り、息子のあまりの不出来さに怒鳴り散らしたこともあります。合格発表を見るその瞬間まで「ここまで頑張ったのに、落ちたら辛すぎる」とも思っていました。
小学校受験を無事にパスし、3年経った今は、「そういえばうちの子、(言えば)座ってドリルをするな」ということに気づきました。宮澤先生の言う、“座っていられる子”の典型です。学校でも、「授業中に席を立って困る」と言われたことはありません。
幼稚園受験に費やした1年間と、小学校受験準備期間中の1年間。息子にとって“授業中に座って話を聞くこと”は当たり前のこととして定着し、今に活きています。
たとえ受験に不合格だったとしても、受験の準備をしたことで子どもは大きく成長できますし、良い経験になることは間違いありません。ただその経験を次にどうつなげるのかが、今では大切だと思っています。小学校受験は子どもにとって通過点のひとつです。
十人十色の経験談がある、それが“お受験”!
文字数の関係で紹介できませんでしたが、塾選びで詐欺に遭いそうになったり、試験前日に息子が顔に大きな怪我をしてしまったりと、さまざまな経験をしました。
挫けそうになりながらも続けた結果、息子は無事に小学校に合格することができました。
「何万人もの人が暮らす世の中で、いわゆる“いい大学”に行ける人より、“いい小学校”に行ける人の割合の方が圧倒的に少ないです。
しかもその“いい小学校”には、将来を見据えて頑張る子どもたちがたくさんいるんですよね。
すると、触発されて自分も“やるぞ”という気持ちになる。そういう環境作りのための第一歩を踏み出せること、つまり小学校受験は親からのギフトです」(宮澤先生)
先生の話を聞き、「夫と私も息子にギフトを贈ることができた」と喜んだ矢先のこと、息子に「小学校受験のこと、どれくらい覚えている?」と聞くと、「あんまり覚えていない」という答えが……。
あんなに頑張った1年間がキレイさっぱり記憶のはるか彼方へ飛んでいってしまったというのは、これすなわち、怒鳴り散らした私のやらかしも記憶の奥底へしまわれたということ。
ただ、小学校受験のために始めた習慣は、今も我が子の身についたままなので、やはり受験の経験は「良し!」だったと感じています。
取材・文/中村雛乃
※本記事内では、幼児教室の呼称を「塾」で統一しています。お受験界隈では「お教室」と呼ばれています。
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◆宮澤 裕介(みやざわ ゆうすけ)
1969年に設立された都内最大手の幼児教室「ジャック幼児教育研究所」で14年、同じく大手の小学校受験専門塾「スイング幼児教室」で4年教鞭を執り、4年前に個人で「KAKERU幼児教室」を開校。6000人以上の子どもたちを指導し、1万時間以上の授業を行ってきた。現在は年間100名程の生徒を教えている。