4プラ、ロビ地下、ヒロシ前…札幌市民の待ち合わせ場所は?街の変化と受け継がれる風景
「4プラ前で待ち合わせね」
かつて札幌の街で当たり前のように交わされていた約束です。
北海道新幹線の札幌延伸を見据え、札幌駅周辺では大規模な再開発が進行中。
エスタや旧バスターミナルが姿を消し、長年親しまれてきた風景は変わり始めています。
そんな中、札幌の街歩き情報を発信するブロガー「しょーこ@札幌クリップ」さん(@kotton105910)がXに投稿した「昔の待ち合わせ場所」をめぐる話題が、多くの札幌市民の共感を呼びました。
場所を説明するのに「大通駅の、えっと、ザブーンがあった所!」っていったら「ザブーン?」って笑われました。もう通じないのか?!(笑)
この投稿には、札幌市民を中心にさまざまな声が寄せられました。
「『ザブーンがあった所』がもう通じないんですか⁉︎ 『PORSE (ポロセ)がある所』って言えばいいんでしょうか?地下鉄すすきの駅改札付近を『ロビ地下』ではなく『鏡の間』と呼んでいた昭和世代としては、まだまだザブーンでいいじゃん!と思ってしまいます」
「ザブーンの前のセーブポイントも好きでした」
「ザブーンがあった所というのが一番わかりやすいですよね…」
世代ごとに思い浮かぶ場所は違っても、「あそこで待った」という記憶は多くの人の中に残っています。
そこで今回は、大通を中心に札幌駅からすすきのまで、札幌市民の待ち合わせスポットの今と昔をたどります。
今、札幌市民はどこで待ち合わせている?
まず名前が挙がるのが、地下街オーロラタウンの「小鳥のひろば」です。
1971年に開業したオーロラタウンにあるこの広場では、色とりどりのインコたちがガラスケースの中で暮らしています。
SNSで「札幌 待ち合わせ」と検索しても名前が挙がる定番スポットで、しょーこさんも「札幌市民の待ち合わせの聖地、王道中の王道だと思います」と話します。
「『鳥の鳴き声が聞こえる場所でね』と言えばそれだけで伝わる安心感。SNSの声を見て、『やっぱりみんな、あそこでインコを眺めながら人を待っていたんだな』と、ものすごく納得しました」
オーロラタウンを管理する札幌都市開発公社によると、小鳥のひろばでは20羽前後のセキセイインコを飼育しています。
円山動物園や専門家の助言を受けながら管理し、体調不良の個体は別室で経過観察するなど、市民の憩いの場を支えています。
また、オーロラタウン中央部のオーロラプラザやオーロラスクエアも長年親しまれてきた待ち合わせスポットです。
イベント会場として利用されることも多く、「とりあえずここで集合」と約束する人も少なくありません。
さらに近年は札幌駅前地下歩行空間「チ・カ・ホ」が待ち合わせの中心地に。
大通ビッセ地下のベンチ周辺は地下鉄大通駅に近く、座って待てることから幅広い世代が利用していて、札幌駅方面から来る人と大通周辺で過ごす人の合流地点にもなっています。
地下鉄大通駅、札幌地下街ポールタウン入り口前にある大型デジタルサイネージ「HILOSHI」も1994年の設置以来、待ち合わせスポットとして定着しています。
三越前、パルコなど大型商業施設に近い利便性の高さも定着した理由になるでしょう。
新たな待ち合わせ場所は?
最近、新たに定着しそうな待ち合わせスポットはどこでしょう。
しょーこさんにも聞いてみました。
「ヒューリックスクエア札幌の地下などは、これから新しい目印になっていきそうな気配を感じます」
ヒューリックスクエア札幌はチ・カ・ホ直結の中央区北3条西3丁目の新しい複合ビル。
「冬の寒さや利便性を考えると、やはりチ・カ・ホの広場やベンチ付近は最強の待ち合わせスポットでは?ヒューリックスクエアのベンチ付近は他より照明が若干暗めなので、目をつぶって一休みするのにもおすすめです笑」
一方、札幌駅では西コンコースの彫刻「妙夢」前と、東コンコースの赤いオブジェ「Legs―旅人の残像」前が定番スポットとして知られています。
『妙夢』は美唄市出身の彫刻家・安田侃さんの作品。美しい白い大理石の彫刻は、札幌駅のシンボルとして完全に定着しています。
「単なる目印というだけでなく、あの彫刻に触れたり、多くの人が行き交う中で誰かを待ったりする時間そのものが、札幌という街の持つ『アートが溶け込む洗練された空気感』を象徴している気がします」
「4プラ前」で待っていた時代
今も新しい待ち合わせ場所が生まれる一方、多くの札幌市民の記憶に残る場所があります。
その代表格が「4丁目プラザ(4プラ)」前です。
しょーこさん自身も思い出深い場所なのだそう。
「とにかく『分かりやすいこと』と『その後の動線が良いこと』です。4プラ前なら、そこからポールタウンに入るのも狸小路側に行くのも便利でしたし、何より『みんなが知っている場所』という安心感がありました」
再開発によって4丁目プラザは姿を消し、現在は「4PLA」として生まれ変わりました。しかし、多くの市民の記憶には当時の姿が残っています。
2023年にしょーこさんがXに投稿した写真にも大きな反響が寄せられました。
懐かしい写真がでてきました
今はなくなってしまった札幌市内のこの場所。
わかる人にはわかるかな?
簡単って人もいるかもしれないですね
懐かしい~
この投稿には200件を超えるコメントが寄せられたといい、4プラが多くの札幌市民にとって特別な場所だったことがうかがえます。
「ロビ地下」「ヨーク下」「ザブーン」 世代ごとの待ち合わせ場所
4プラ前だけではありません。
SNSには、それぞれの世代が懐かしむ待ち合わせ場所の名前も並びました。
ススキノで遊ぶ人たちの定番だった「ロビ地下」。
地下鉄すすきの駅直結のロビンソン百貨店前を指す呼び名で、多くの人が待ち合わせ場所として利用していました。
その後、この場所は「札幌すすきのラフィラ」を経て再開発され、現在は複合商業施設「COCONO SUSUKINO」として生まれ変わっています。
さらにロビンソン百貨店以前、この場所がヨークマツザカヤだった時代には「ヨーク下」と呼ばれていたそうです。
同じ場所でも、世代によって呼び名が変わっているのが歴史の重みを感じさせますね。
また、冒頭の投稿に出てきた、大通駅地下に数年間設置されていたアート作品「ザブーン」も印象深い存在とのこと。
「設置されていた期間が短かったからこそ、当時を知る人の間で今も語り継がれている『幻の待ち合わせスポット』という感じで、SNSならではのディープな声だなとうれしくなりました」
街の風景は変わっても、人々の記憶の中では今も待ち合わせ場所として生き続けています。
スマホがない時代、「待つ時間」も思い出だった
今と昔では、待ち合わせそのものの感覚も変わりました。
しょーこさんは「会えるまでのドキドキ感と、時間へのシビアさだと思います」とその変わったポイントを話します。
「今はスマホがあるので『チカホの適当なベンチにいる』『ちょっと遅れる』がその場で送れますが、当時は事前に『〇時〇分に4プラ前』と決めたら、そこに行くしかありませんでした」
少し遅れるだけで、「本当に来るかな」と不安になる。
相手を見つけた瞬間の安心感も大きかったといいます。
「今となっては愛おしい思い出ですね」
待ち合わせ場所だけでなく、「待つ時間」そのものも思い出の一部だったのかもしれません。
変わる街、受け継がれる記憶
再開発によって街は便利になります。その一方で、多くの人が共有していた風景が失われているのも事実です。
「寂しさはもちろんあります。ただ、私は街の変化を記録する中で、『風景は形を変えても、そこに集まった人の記憶までは消えない』と感じています」
そして、新しい街には新しい思い出の場所が生まれていくはずです。
ちなみに、ススキノには少し変わった待ち合わせスポットもあるようです。
それが第3グリーンビル1階のファミリーマート前。
灰皿が設置されていることから喫煙者が集まりやすく、知る人ぞ知る待ち合わせ場所になっているみたいですよ。
4プラ前で待った人も、小鳥のひろばで待った人も、HILOSHI前で待つ人もいる。
「あそこで待ち合わせたよね」
そんな会話が続く限り、札幌の街の歴史はこれからも受け継がれていくのかもしれません。
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<取材協力>
しょーこ@札幌クリップ(@kotton105910)さん(X)
※掲載の内容は取材時(2026年5月)の情報に基づきます。
文・取材:ゆきお
<プロフィール>
WEB編集者兼ライター。東京在住のころからSNSで道内の話題を探すのが好きで、日常生活で役立ちそうなネタを日々探索しています。
2026年3月から念願の札幌勤務に。
編集:Sitakke編集部あい