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木村拓哉はやはり“神がかっていた”『ロングバケーション』<信子と庸平>の本音対談【春ドラマ編】

フジテレビュー!!

「春」というと、どんなドラマを思い浮かべますか?

ドキドキの新生活に寄り添ってくれた作品、新しい友だちを作るきっかけとなった作品、恋する気持ちを後押ししてくれた作品など、思い出されるドラマはありませんか?

そこで今回は、エンタメ通の編集&ライターの信子と、ドラマ大好きライターの庸平が「春に見てほしい名作ドラマ」5本をセレクト。

その魅力とオススメのポイントを忖度なしで語り尽くします。

ホームドラマだけど、野島伸司脚本だから一筋縄ではいかない『ひとつ屋根の下』

――2人がピックアップしてくれた5作品の中で、一番古いのが1993年放送の『ひとつ屋根の下』ですね。

後列左から)酒井法子、大路恵美、江口洋介、いしだ壱成、福山雅治
前段)山本耕史

信子:「月9」では、珍しいホームドラマでした。とは言っても脚本が野島伸司さんだから、一筋縄ではいかないんだけど。

庸平:僕は小学生だったから、リアルタイムでは見てないんです。97年放送の『ひとつ屋根の下2』に、松たか子さんが出ていたことをボンヤリ覚えているくらいで。

信子:江口洋介さん演じる“あんちゃん”が生き別れになった弟や妹(福山雅治、酒井法子、いしだ壱成、大路恵美、山本耕史)を訪ねて回って、みんなで暮らし始めるというストーリーでした。

庸平:両親が亡くなったからといって兄弟全員そこまでバラバラになるものだろうか、とか、ツッコみたくなる設定ではあるんだけど、江口さんだと自然に見えるのが不思議ですよね。

信子:“あんちゃん”の「そこに愛はあるのかい?」っていう名台詞は、流行語にもなったんですよ。

庸平:あのセリフをカッコよく成立させる江口さんに驚きました。下手な人がやるとサブい感じになるようなセリフを、見事にモノにしているじゃないですか。『チキチキマシン猛レース』(70年)の犬・ケンケンのモノマネとか、一歩間違ったら大けがしちゃいそうなのに。

信子:あんちゃん、『ど根性ガエル』(72年ほか)のTシャツも着たりしてましたね。

庸平:それを自然に成立させるなんて、奇跡ですよ!

信子:江口さんは『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』『ひとつ屋根の下』と、「月9」をステージにステップアップしていった、と言っていい気がします。

兄弟たちのなかでも光った、いしだ壱成のカッコよさ

庸平:それにしても弟も妹も、ありえないくらい美男美女揃いですよね。長女の酒井法子さんは、正直、ちょっとフィルターがかかって見えちゃうかもって思ったんですけど、全然!すんごいかわいい!

信子:本当に。自分をウサギになぞらえて「ウサギって寂しいと死んじゃうんだよ」とか言うキャラクターには、イラッとしたけれど(笑)。

庸平:次男が福山雅治さんで、三男がいしだ壱成さん、四男が山本耕史さん。みんなカッコいいんですけど、中でもいしださんのカッコよさに驚きました!

信子:芝居も上手なのよね。

庸平:脚本の野島伸司さんが、いしだ壱成さんをジェームズ・ディーンみたいなキャラにしたいと思っていたというのをどこかで読んだんですけど、納得です。

あと、ほのぼのとしたホームドラマなのに終盤とんでもない事件が起きるんですね。そういう展開は、野島さんが(平凡な家庭が崩壊するような物語の名手)山田太一さんに憧れているからなのかな、とも感じました。

信子:大路恵美ちゃん演じる小梅が、誕生日に性被害に遭うんですよね。そういえば、“あんちゃん”が小梅に誕生日プレゼントのワンピースを買ってあげるとき、「毎日かわいい小梅」って言うのが耳に残って。当時、大路恵美ちゃんをテレビで見ると「毎日かわいい小梅だ!」って思ってました。

庸平:山本耕史さん演じる文也に絵を指導するルミ子が、文也に迫る姿も子供心に生々しくて。

信子:ルミ子を演じたのは、『ふたりっ子』(NHK/96年~97年)の“オーロラ輝子”こと河合美智子さんでした。

庸平:主題歌の「サボテンの花」(財津和夫)と、挿入歌の「青春の影」(チューリップ)の使い方も秀逸ですよね。小梅が性被害に遭うシーンで「青春の影」が流れるんですけど、次の回のオープニングで“あんちゃん”が小梅を発見するシーンでは「サボテンの花」が流れるんですよ。

“あんちゃん”に「来ないで!」って叫ぶ小梅のバックで、平和なテンポの「サボテンの花」。野島伸司作品は、主題歌とセットで楽しむのが定番だったとはいえ、あの曲の使い方はすごかったです。

信子:『ひとつ屋根の下2』の挿入歌の「ひだまりの詩」もヒットしましたよね。夫婦ユニットだったLe Coupleは、その後離婚しちゃったけど。

野島伸司と江口洋介の相性の良さが成功の秘訣!?

庸平:直前の1月クールでは『高校教師』(TBS/93年)を書いたりと、この時期の野島さんは乗りに乗ってますよね。でも、『ひとつ屋根の下』に関しては江口さんとの相性が大きいと思う。

例えば山田太一さんと八千草薫さんとか、坂元裕二さんと満島ひかりさんとか、脚本家と絶妙に相性がいい俳優っていると思うんですけど、野島さんにとってはそれが江口さんだったんだと思います。

信子:江口さんにとっても、この作品が連ドラ初主演。それまでは、2番手とか3番手だったのに、一気に“国民的あんちゃん”に上り詰めたのよね。

庸平:これを機に明るいキャラクターを演じるようになって、その後の『救命病棟24時』シリーズ(99年ほか)にもつながっていく。

信子:『涙をふいて』(2000年)でも、上戸彩さんや二宮和也さん演じる弟妹の面倒を見るキャラだったしね。いい年齢の重ね方をしたなって感じます。

庸平:兄妹で恋をしたりとか、少女漫画的な世界観はちょっとどうかと思うところもあるけど、暗〜くなった物語を最後に“あんちゃん”がマラソンを走るっていう力技でリカバーする。現代のドラマにはちょっとないテイストだと思うし、今見ても面白いと思います。

信子:確かに、テレビがすごく元気だった時代の勢いが伝わってきます。

信子:鈴木保奈美さん演じるヒロインが、ウェディングドレスでヘリコプターから飛び降りるのが、衝撃でした!

庸平:それを「月9」でやるんですから。野島伸司さん、スゴいです。

信子:私はあの作品ですごく孤独な青年を好演していた、大浦龍宇一さんが好きだったな。桜井幸子さんもよかったし。

庸平:尾崎豊さんが歌った主題歌「OH MY LITTLE GIRL」も最高でした!

信子:野島伸司さん、あれほどすごい脚本家なのに、「普段テレビは見ない」とインタビューでおっしゃっていて驚いた記憶があります。

庸平:そうなんですね。90年代のエンタメドラマと言えば、野島伸司さんなのに。ほかの作品を見ないから、逆にすごいシーンが書けちゃったりするのかな?

信子:そういえば、野島さんが脚本を担当した『101回目のプロポーズ』で武田鉄矢さんがトラックの前に飛び出すシーンが、Tシャツになるって、知ってました?

庸平:ええ、そのTシャツ、欲しい!あのシーンの武田さんのスケールの大きいお芝居は、いろんなところでパロディにされているのに、本編を見るとやっぱり感動しちゃうのが、スゴいなって思います。

信子:武田さんを受け止める浅野温子さんも、すばらしいのよね。個人的には、まだVシネ感が薄い竹内力さんのカッコよさにも注目してほしいです。

今見てもまったく古くない!“オシャレ地獄”が炸裂する「ロングバケーション」

――木村拓哉さんと山口智子さんが共演した『ロングバケーション』(以下、『ロンバケ』)は、96年4月の放送でした。

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発売元:フジテレビ映像企画部
(C)2001 フジテレビ

庸平:僕、フジテレビに行くときは必ず『ロンバケ』のサントラを聴くんです。すごいオシャレで“フジテレビ感”満載のサントラなので、今日もお台場に来る時に聴いてきたんですけど、よく考えたら当時のフジテレビはまだ河田町でした?

信子:そっか。お台場に引っ越す前の作品なんですね。『ロンバケ』と、中居正広さんの『勝利の女神』(関西テレビ)、香取慎吾さんの『透明人間』(日本テレビ)が同じ96年4月クールに放送されるとあって大きな話題になりました。『SMAP✕SMAP』も同時にスタートして。

庸平:小学生だった僕は、『透明人間』を見てましたよ。香取さんがお尻出してましたよね?

信子:そうなんです。そのお尻に高額な保険がかけられた、なんて話もありました。ヒロインの深津絵里さんも、コミカルな演技も印象的でした。

庸平:それにしても!今さら僕が言うまでもないですが、『ロンバケ』の木村拓哉さんは、本当に神がかっていますよね。ただカッコいいだけじゃなくて、松たか子さん演じる涼子ちゃんにフラれたりもして、そこがいい!

信子:全員が麗しいのよね。山口智子さんが演じた南の弟役の竹野内豊さんも、木村さん演じる瀬名のピアノの教え子を演じた広末涼子ちゃんも。中でも私のお気に入りは、稲森いずみさんが演じた桃子!頭にピンクの象を飼っているキュートな女の子だった。

庸平:25年以上前の作品なのに、今見ても時代を感じない“オシャレ地獄”みたいな作品。洋服から演出からサントラから、主題歌の「LA・LA・LA LOVE SONG」まで。「月9」の頂点ですよね。

信子:「LA・LA・LA LOVE SONG」は、久保田利伸さんがNYで住んでいたアパートメントに、モデルのナオミ・キャンベルさんも住んでいて、コラボをお願いしたんですってね。

庸平:なんですか、その偶然!物語は特にドラマティックなことが起きるわけではなくて、ただ登場人物たちが恋をしたり仕事したりピアノで悩んだりするだけなんだけど、それが「青春!」って感じで。

30代のリアルと可愛らしさの共存!山口智子みたいな女優さんはもういない?

信子:ラストのキスシーンがまたカワイイのよね。小鳥がついばむみたいな♡

庸平:1話の冒頭、山口智子さんが白無垢で爆走するシーンは、“1話のインパクトNo.1ドラマ”だと思います。

信子:山口さんがすごい形相なんだけど、そこがいいのよね。『101回目のプロポーズ』でも浅野温子さんが花嫁姿で走っていたけど、山口さんはカツラも外しちゃってて、キレイすぎないところがグッと来る。

庸平:30代の女性の恋も仕事も切羽詰まった感じと、可愛らしさが共存している山口さんみたいな女優さん、今の時代だとなかなかいないですよね。

信子:確かに。今の30代の女優さんだと、もうちょっと幼い印象だから“切羽詰まった感”が出ないかもね。

庸平:この時代の(脚本を手掛けた)北川悦吏子さんは天才だと思います。『ロンバケ』が好きだっていうと、ちょっと笑われちゃう風潮があるんだけど、タイトルが有名すぎて見た気になってる人が多いんだと思う。実際に見たら、クラクラしますよ!

信子:北川さんは当時、木村拓哉さんに恋するような気持ちで脚本を書いてたんじゃないかしら?

庸平:確かに、キラキラ感が特別!「何をやっても上手く行かないときは、長いおやすみだと思って」というテーマは、春に向いているんじゃないかな。フジテレビがお金をたくさん使ってドラマを作っていた時代だからこそ実現できた、細かいところへのこだわりも楽しんでほしいです。

信子:ドラマを見た人がロケ地に集まる“ドラマの聖地巡礼”のさきがけ的な存在でもあるんじゃない?そういう意味でもすごく新しかったし、同時に普遍的な作品だと思います。

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