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XAI、5年ぶりSPICEに登場。空白の時間、She is Legendと茅森月歌のこと、XAIとして歌うこと、そして反撃の狼煙を上げる独占インタビュー

SPICE

XAI

第8回「東宝シンデレラ」オーディションで初代アーティスト賞を受賞し、劇場版アニメ『GODZILLA 怪獣惑星』の主題歌「WHITE OUT」でデビューしたシンガー・XAI(サイ)。2022年2月からはドラマチックRPG『ヘブンバーンズレッド』の主人公・茅森月歌のボーカルを担当し、作品内にて誕生したラウドロックユニットShe is Legendでは鈴木このみとのツインボーカルとしても活躍する彼女が、1月に5年ぶりとなる「Rain Bird」をリリース、4月23日には2ndLIVE『xaichic panic!』を開催する。じっと力をため続けたXAIの本格始動に合わせて、5年ぶりのインタビューを敢行。空白になってしまった時間をじっくりと聞いた。

――XAIさんのインタビュー、SPICEとしては2018年11月以来、実に5年ぶりです。

お久しぶりです。よろしくお願いします。長かったですね……。前に取材して頂いた時本当に嬉しくて、またこうしてお会いできるのが嬉しいです。

――僕もです。もうデビューして7年なんですね。

そうですね、もう7年経ちました。

――前のインタビューはアニメ―ション映画『GODZILLA』三部作の頃でした、そこからの隙間を埋めないといけないと思うんですが、デビューしてからここまではどんな日々でした?

アーティストってなんだろうっていうことも分からないままデビューしたんですけど、自分には何ができるんだろうか?と、思い続けた時間だったと思います。

――中野雅之さん(THE SPELLBOUND/BOOM BOOM SATELLITES)プロデュースということも含めて、XAIの登場はセンセーショナルでした。ですがアーティストとしてはコロナ禍の影響も大きかったと思うんです。

コロナの影響は大きかったですね…。中野さんに『GODZILLA』三部作を作っていただいて、そこからアーティストとしてどうやっていこうか話している中でした。自分で曲を作ったり、映画の挿入歌を担当させてもらったり、Maydenfield(日本を拠点に活動するイギリス / スペイン出身のソングライター)とも曲を作っていたりしていました。なんとかして歌いたいし、歌う場所を作りたいとは思っていたけど、ずっと苦しんでいましたね。

――これからっていう所ではありましたもんね。そんな時期でも、自分の中のターニングポイント的なものはあったんでしょうか。

今の自分や活動があるのは、やっぱり『ヘブンバーンズレッド』(ライトフライヤースタジオとビジュアルアーツのゲームブランド・Keyによるロールプレイングゲーム。『AIR』『CLANNAD』などを手がけた麻枝准が15年ぶりに手掛けた完全新作ゲーム、以下『ヘブバン』)に呼んでもらったことですね。そこから色々なことが起こり始めたなと思っています。それこそお声がけいただいた時は正直、自分の歌って誰かに聴いてもらえているのかな、と思っていました。

――自信がなくなっていた?

はい、そういう実感が全く持てないままコロナ禍に入ったので……。でも麻枝さんに声をかけていただいて、自分の歌を求めている人というか、一緒にやりたいって言ってくれる人がいるってことが自分にとって大事なポイントでした。まだやってみようって思えたので。

――自分の中でうっすらくじけそうだったというか。

歌うのが好きだ、っていう情熱だけでこの世界に入ったけど、それだけじゃダメだと痛感していたんですよね。私なんかが音楽なんかやっちゃダメなんだみたいな風に思っていた時に、コロナ禍に入ったので、毎日そのことを考えちゃうんですよ。そんな時に声をかけてもらったから、麻枝さんのために何があっても頑張ろうって思っています。

XAI「Rain Bird」

――改めて麻枝さんとの出会いはどういう感じだったのかも聞ければと思うんですが。

スタッフさんが、アニソンやゲ―ムソング業界に顔が広い人で、Keyとも長く関わりがあって。うちから新しいアーティストがデビューしたって私の曲を色んな人に聴かせてくれたそうなんです。その頃麻枝さんは『ヘブバン』の主人公、茅森月歌のボーカルを探していらっしゃって。ちょうどそのタイミングがはまって、選んでいただきました。

――以前インタビューした時に、『マクロスF』に登場するシェリル・ノームに憧れてアーティストになった、という話を覚えているんですけど、月歌とXAIの関係値ってシェリルとMay'nさんと同じじゃないですか。自分が憧れたものに近づいているのはすごいと思うんです。茅森月歌との出会いって、どういうものなんでしょうか?

おっしゃっていただいた通り、シェリル・ノームに憧れてシンガーに私はなったから、物語の世界の歌を担えるんだって思ってすごい緊張していたのが最初ですね。

――キャラクターであるはずのシェリル・ノームを、“存在”として憧れるアーティストがプロになる世代が出てきたんだなと思ったのが、お会いした時凄く印象的だったんです。

一生懸命やりすぎて、茅森っていうキャラクターと一体になろうとしすぎて、レコーディングの時に毎回麻枝さんに「これはXAIの歌じゃなくて、茅森の歌だから、この歌詞の内容、この世界を自分のものとして歌ってください」って、アドバイスをいただきます。だから茅森月歌って存在について考えると、自分が歌っているからこそ、他人事じゃなく感じるのはあると思います。彼女の価値観とかは麻枝さんの作ったものだけど、考えていることや、今のストーリーの中でのフィーリング。そういう部分にXAIが左右されているところはあるのかもしれないです。

――決して他人ではない?

そうですね、なんだろうな……自分も茅森みたいにならなくちゃいけないと思っている所は凄くあると思います。茅森はカリスマだから、私もカリスマじゃないといけない、みたいな。私にとっては追いかけなきゃいけない存在って感じますね。私が茅森なんだっていうより、憧れている感覚。今ギターを練習しているのも、私ももっと茅森みたいにできるはずだって、自分自信に対して思っているし、周りからも感じるところでもあると思います。茅森越しに私が見られているっていう瞬間もたくさんあるから。

――キャラクターと一緒にあるからこそ、キャラクターと比較される瞬間もあるってことなんですね。

だから、私はもっとできるはずだと思っています。まだ茅森月歌は、私にとっては一つになった存在ではなく、超えなきゃいけない、私の前にいる存在ですね。

撮影:大塚正明

――その捉え方はとても面白いですね。『ヘブバン』で言えばShe is Legendとしての活動も活発です。鈴木このみさんとのラウドロックユニットですが、相方がいるというのはいかがですか?

いやーだって、鈴木このみさんですよ! 鈴木さんのオーディション(第5回全日本アニソングランプリ)で「ダイヤモンドクレバス」歌っていたのも見ていました。活躍している方と隣で歌えるのか!みたいなところからスタートです(笑)。

――まさかの展開ですよね(笑)。

鈴木さんの横に立っても恥ずかしくないようになりたいと思います。『ヘブバン』の現場って本当に温かくて、チームで一緒にやっていこうっていう愛がある現場なんです。私も心からそう思っています。鈴木さんは、相棒でもありつつ、いつか絶対超えたいって思っている存在でもあります。

――年齢もひとつ上ですもんね。でも本当にShe is Legendから歌い方も変わった気がしていて。

そうです。歌い方は全然違うと思います。鈴木さんを意識しているところもありますけど、麻枝さんのディレクションも「もっと激しく、もっとわかりやすく」という感じなので。自分の声の魅力って、低いところや、エアー感があるところだと思っているんですけど、そのアプローチはヘブバンだと全く通用しなくて。ラウドな曲のなかで良く自分の歌を聴かせられないと思っていたんです。自分の魅力を出すにはどうしたらいいんだろうって毎回四苦八苦しながらレコーディングしていましたね。

――その努力は確実に音源に残っているきはしますけどね。最初XAIさんだって気づかないくらいキャッチーだったし。

ありがたかったのは毎月のようにレコーディングがあるんですよ。だから、たくさん試せる機会があって、トライアンドエラーが沢山できた。何か掴めたなって思ったのは「シガチョコ」辺りからですね。いい意味でタガが外れたというか。

――同時にXAIとしてもTVアニメ『薬屋のひとりごと』第9話挿入歌「明日を訪ねて」や、澤野弘之さんとも「LEMONADE」や「DARK ARIA」などでタッグを組んでいます。ヘブバンで得たキャッチーさをうまく自分の持ち味に活かしている印象があります。

シンガーとして思うのは、歌の印象として分かりやすさって大事だったんだっていうことです。ヘブバンを通して、自分の歌が変化してもいいって思うことが出来ましたし、声をかけてもらった時も、自分の歌に自信があればどんな歌い方をしてもいい。本当に地に足をつけて立てるようになるまでにすごく時間がかかったけど、でも諦めないで良かったって思えるようにやっとなりました、無駄じゃなかった。

――初めてお会いしたときより芯ができたなって感じがしますね。負けず嫌いなのかな、とはずっと思ってるんですが(笑)。

そうだと思います。最近、ライブするたびに「絶対誰にも負けねえ、私はXAIなんだ、ここで一番いい歌が歌えるんだって証明してやるぜ」みたいな感じになります(笑)。前は歌う度にボコボコになって自信がなくなっていたけど、でも時間をかけて負けず嫌いな自分を思い出してきましたね。

――大人になったのもあるのかなって思いますが、5年ぶりにリリースされた新曲「Rain Bird」はデビュー当時では出せない歌の行間がある楽曲になっています。しかし5年ぶりは結構空きましたね……。

そうなんですよ、やばいですよね(笑)。人生って何があるか分かんないなって思いましたよ、夢は諦めるなって本当なんだなって。

――作詞がXAIさん、作曲、編曲にGLIM SPANKYの亀本寛貴さんを迎えた楽曲ですが、本当にいい曲ですね。

嬉しいです。

――決してダーク過ぎないけど、いわゆるポップに振り切ってるわけでもない。5年ぶりに曲出そうって言われた時、どうでした?

マネージャーさんが去年から変わったんですけど、リリースのスケジュールから全てやってくれました。去年も勝負の年だったけど、今年はもっと勝負だと思っています。XAIはどんどんやっていくんだぞっていう姿勢を見せていかなきゃいけない。昨日もレコーディングでした。

――動きが出てきましたね。

「Rain Bird」に関して言えば、2023年の最後までジャケットの打ち合わせをしていたので、本当に勝ち取ったリリースです。本当にチームにありがとうって思いながら辿り着きましたね。

――ここからXAIは行くよ、という思いがしっかり乗った一曲ですね。その流れの中4月23日には2nd LIVE『xaichic panic!』も控えています。昨年の7月にはファーストワンマン『TO THE MOTHERSHIP.』もありましたが、その感想も聞ければ。

Shibuya WWWで開催させて頂いたんですけど、WWWでライブできるんだっていうのがまず嬉しくて。WWWって音楽好きとしては凄く好きな箱でもあったから。担当してくれているイベンターさんがすごい愛情を注いでくださっているので、アーティストとしてもっと大きくなって、恩返ししたいと思ったライブでもありましたね。

――スタッフに愛されているのは素晴らしいですよね。

あとお客さんってアーティストの鏡だって言うけど、私を見たい人がたくさんいて、私の歌を求めてわざわざ時間とお金かけてライブに来てくれるっていうことに対してすごい責任を感じたライブでした。

撮影:大塚正明

――ライブハウスでの対バンにもいくつか出演されてましたよね。

はい、3月ぐらいに対バンで下北沢のイベントに出演させていただきました。その時は、ギターの弾き語りをしました。でも緊張しすぎてボロボロで、一回弾き直したんです。その時に私を見に来てくれたお客さんが頑張れって言ってくれて、その声が毎日自分の中で響いているんですよね。何があっても頑張れって言ってくれたあの人のために続けようって。

――心に刺さったんですね。その時は弾き語りで何を歌ったんですか?

Girls Dead Monsterの「一番の宝物」をカバーしました。あれだけボロボロだったにも関わらず、この曲をXAIさんで聴けてよかったって言って、泣いてくれた人とかもいて。そういう人のためにもっといい歌を歌わなきゃ、もっといいものを見せたいと思いました。そういう経験を得てからの1st LIVEだったので、自分にとって凄く大事な日でした。もっとアーティストとして大きくなっていきたいと思っているけれど、あの日は“自分を求めてくれている人がいる”っていうのをより強く感じました。

――頑張れっていう言葉が歌う理由になる。

はい、めちゃくちゃ嬉しかったし、不甲斐なかったし、一生忘れない。

――それから一年、今回はどんなライブにしましょうか。

前回は『TO THE MOTHERSHIP.』っていうタイトルで、それって映画の『ボヘミアンラプソディ』を見に行った時にセリフとして出てきた言葉で、元いた場所に帰ろう、みたいなニュアンスで言っていた言葉だったんですけど、それを意識したライブにしました。

――ファーストだけど元いた場所に帰ろう、という感じなんですね。

はい、ファーストだけど、散々のたうち回ってきて過ごしてきた5~6年があって、それでもやっぱり歌が好きで、それを届けたいっていうのを意識していたんですけど、今回のライブは『xaichic panic!』。すごいポップになりました(笑)。

――確かに(笑)。

自分の意識的に、もっと弾きたいって気持ちからくるポップさです。言葉自体はタイトルどうしようかなって思っていた時に電車に乗っていたら、車内広告で電車の窓に『フルメタル・パニック!』って書いてあって。

――まさかの『フルメタ!』賀東招二さん(フルメタル・パニック!原作者)がここで出てくるんですか(笑)。

もともと好きなアニメなんですけど、なんか言葉の感覚が今の自分のフィーリングと合うなって思って。ファーストの直前もすごい混乱していたんですけど、次もきっとパニックになるだろうなと思っていて、じゃあ、それをタイトルにしちゃおうと思って。

――xaichicはどこから?通常の綴のpcychicにXAIをかけているのは解るんですが。

サイキックは、実はそんなに意味があるわけではなくて、私のグッズの制作を一緒にやってくれる子がいて、その子のお父さんが私につけたあだ名なんです。そんな軽いところから来ているんですけど、その遊び心もいいなと思って。パニックするけど、ファーストの時よりは、もうちょっと気楽な気持ちでライブしたいっていう思いもあって。

――もっとライブを楽しむ感じというか。

そうですね、前回と一番違うのは、自分のニューリリースがライブで歌えるという部分ですね。そこに対する思いはすごいあって、それを最高の状態で聴いてほしいっていう思いもあります。今回は自分でギターも弾きたいなと思っているので、お客さんにいい意味でパニックしてほしいという思いもあります。

――進化してるところをちゃんと見せられるライブになりそうですね、デビューして7年ではあるけど、ここからって感じがどこか嬉しいです。最後に読んでくれてるファンの人にメッセージをいただければと思います。

前回のインタビューからすごい時間もたって、いろんなことがあって、とにかく伝えたいっていうか、言いたいのは今のXAIを見てほしいっていうことです。色々なステージで経験をして、一か月前の自分が幼いって恥ずかしくなるぐらい、すごいスピードで変化してきたと思っています。2nd LIVEを終えて、5月からShe is Legendとしてツアーが始まるんですけど、そこでは全く違う私になっていくと思うから、今の私を見て欲しい。2nd LIVE絶対見に来てほしいって思います。

――次のインタビューが5年後ってことはなさそうですね!(笑)

それは絶対嫌!(笑)なので、本当にここからいきます。マジで反撃していきますよ!

撮影:大塚正明

インタビュー・文:加東岳史 撮影:大塚正明

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