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赤穂市民病院の指定管理構想 事実上の2病院統合 外来・救急を集約

赤穂民報

赤穂市民病院の指定管理構想を語る医療法人伯鳳会の古城資久理事長

 赤穂市が2027年4月に指定管理者制度を導入する方針を発表した赤穂市民病院をめぐり、委託先の候補となった医療法人伯鳳会の古城資久理事長が赤穂民報の単独インタビューに応じ、委託先候補となった経緯や今後の構想について語った。

   * * *

―これまでの経緯を教えてください。

 「赤穂市から最初に話があったのは今年6月。市長から面会の要望があり、数日後に2人で会った。『市民病院が大変なので、指定管理をしてくれますか』という話だった」

―どのように受け止めたか。

 「いずれ、こういう日が来ると思っていたので、自分としてはあらかじめ想定はしていた。その場で市長さんに僕の考えを話したら、『その方向でやってください』ということだった。9月から4回ほど事務方との打ち合わせがあり、お互いに忌憚のない情報交換はできた。今のところ、まったく折り合えない、というようなことはない」

―今後の協議を経て正式に指定管理者となった場合、どのような病院運営を描いているのか。

 「赤穂中央病院の外来機能、急性期機能、亜急性期機能を全て赤穂市民病院に移し、中央病院は慢性期医療のみを行うように組み替える。2つに分かれて外来や手術を行うことは非効率なので、段階的に移行するのではなく、指定管理の開始と同時に一斉に実施する」

―診療科は?

 「足りない部分を相互補完し、重複する部分は機能強化が出来る」

―医師派遣の基盤となる大学医局が異なることが支障にならないか。

 「昔のような大学医局の壁は今はもうない。うまく融合できると思う。市民病院に医師を派遣している大学医局も、赤穂市民病院の状況はよく理解してくれているので、医師を引き上げたりするようなことはないと思っている」

―外来の診療時間は?

 「平日の午後診、土曜の午前診も行う」

―入院病床数と看護体制はどうなるのか。

 「市民病院を360床から399床に増やす一方、中央病院を298床から199床に減らし、合計658床から60床減少を検討している。市民病院は元々420床の許可病床で、建物も3万3000平方メートルと広いので、400床は楽に入る。2027年4月以降の看護職員によって稼働できる病床数は変化するが、現在の計画では、ICU6床、一般急性期病棟273床、回復期リハ病棟80床、地域包括ケア病棟40床を考えている」

 

―救急は?

 「市民病院に統合する。現状の救急受け入れ数は市民病院が2000、中央病院は1000で合計3000になるが、大阪や東京では4000とか5000とかざらにある。2か所に分かれてやるよりも1か所で受けた方がはるかに楽になる。十分受け入れ可能で、まったく心配していない。消防署も助かると思う。現在は域外搬送の割合が1割を切っているということなので引き続き維持できるように取り組んでいく」

―その他に取り組みたいことは?

 「現在、赤穂市民病院は地域医療支援病院の指定を受けているがために、患者さんは初診時選定療養費として7700円を支払わないといけない。外来を市民病院に一本化した状況で『選定療養費』を取るのは不自然。選定療養費を取らずに財政的に大丈夫かどうかの検証は必要だが、できれば、地域医療支援病院を返上して、選定療養費を取ることをやめたい。地域医療支援病院であろうとなかろうと、患者さんに提供する医療の質に変わりはない。また、薬の処方は院外処方から院内処方に戻したい。その方が患者さんの薬価負担が減るし、薬剤師が直接カルテを確認できるので、疑義照会もよりスムーズにできるようになる。ただし、そのためには薬剤師が30人程度必要で、その人材確保が課題になる」

―これまで市民病院が長年赤字を出してきた中、どのように経営を立て直すのか。

 「市民病院の外来500名、入院200名と中央病院の外来700名、さらに入院240名のうちの慢性期入院を除いた170名が一つの病院になれば、外来1200名、入院370名、総収入150億円の病院になる。この規模で健全経営を続ければ、赤穂市4万3000人の医療の8割程度をカバーし、黒字化は十分可能だろう」

―支出面で削減できる余地はあるか。

 「二つの病院が一つになる事により重複し過剰になった管理部門があれば、それを是正する。次に市民病院は委託費、外注費が民間の水準に比較して明らかに高いので、是正を図る。委託業務で内製化できるものは徹底的に内製化し、委託職員は直接雇用に切り替える。同時に人員配置基準に沿った適正配置を心掛け、過剰な人員配置にならないように考慮する」

―市民病院のスタッフが伯鳳会へ移籍する場合、給与などの待遇はどうなる。

 「給与を含め、処遇は全て伯鳳会の基準で行う。赤穂市からは移籍して処遇の下がる職員がいた場合、一定期間、一定の補填を行うことを計画されているようだ」

―伯鳳会が指定管理者となることによって、どのようなメリットがあるか。

 「一つは、赤穂市と近隣地域に安定的に長期間、クオリティを落とさずに医療を提供し続けること。2つめは伯鳳会の経営を安定させること、3つめは赤穂市の財政に寄与すること。2つめと3つめは二律背反なところもあるが、お互いに歩み寄れると思っている」

―指定管理料はどうなるのか。

 「まだ決まっていないが、基準内繰入金に相当する額は入れていただけるものと思っている。これは病床数によっても変動する。その一方で、市からは、減価償却費の半分を負担してほしいと要望を受けている。収支的にはプラスマイナスゼロにしたいと言われている。赤穂市の財政状況が非常に厳しいのはわかっているので、こちらとしてはあまり無理なことを言うつもりはないが、減価償却費の負担については金額や一定期間の免除を交渉するかもしれない」

―市民に向けて伝えたいことは。

 「指定管理になってよかったと、市民のみなさんに言ってもらえるように努める」

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