映画ファンなら知る人ぞ知る!「保証小切手」と称される韓国の名優7人
韓国俳優は韓流ブームが巻き起こって以降、多くの日本人を虜にしてきた。
その中心にいるのは、ドラマに出演する役者たちだ。黄色い声援を浴びるのは当たり前、常に一挙手一投足が話題となり、新作ドラマでの活躍ぶりは日本でも熱い視線を浴びる。
しかし実は、スクリーンで活躍する俳優陣のなかにも、押さえておきたい名優が大勢いるのをご存じだろうか。
彼らが出演すればヒットすること間違いなし。高い演技力と過去の実績により、驚くべきチケットパワーを持っていることから、韓国では興行の“保証小切手”と呼ばれている。
以前に比べるとここ数年、銀幕のスターがお茶の間に登場する機会が増えており、ドラマファンのなかにも、彼らや韓国映画に興味を持っている人は多いはず。そこで本記事では、映画ファンなら知る人ぞ知る、保証小切手俳優を7人と彼らの代表作を紹介する。
(図)Danmee 日本ファンが選んだ7月~9月公開 No.1韓国ドラマは・・ジェジュン主演「悪い記憶の消しゴム」
リュ・スンリョン
リュ・スンリョンは、善良な役から悪役、コミック演技まで幅広くこなす俳優。ドラマファンなら、『ムービング』(Disney+/2023)で、チキン店を営んでいた父親といえばピンとくるのではないだろうか。
2019年公開の映画『エクストリーム・ジョブ』が代表作の1つで、観客動員数は1千万人越え。なんと当時韓国映画の歴代興行成績第2位を記録した。絶妙なタイミングで放たれるセリフと、計算されつくされた表情は圧巻。本国のみならず、海外でも多くの人に愛された。
チャ・スンウォン
チャ・スンウォンは、モデル出身の俳優。スタートは役者ではないが侮るなかれ、スクリーンで強烈なキャラクターを演じ続けてきた実力派だ。人気ドラマ『ある日~真実のベール』(Coupang play/2021)や『私たちのブルース』(Netflix/2022)とは、一味異なる彼の姿を楽しめるのが映画だ。
そのなかでも、世界的大ヒットを記録した『毒戦 BELIEVER』シリーズ(2018、2023)が有名。物語のキーパーソンで正体不明のキャラクターを熱演した。ある理由により顔だけで演技しなければならないシーンもあったが、鋭い眼光をはじめ声のトーンなど、使えるものは全て活用して見事に役の持つ感情を表現している。
イ・ジョンジェ
イ・ジョンジェといえば、『イカゲーム』(Netflix/2021)を世界的大ヒットへ導いた俳優として有名。しかし実は映画への出演の方が多く、1994年以降ほぼ毎年のようにフィルモグラフィーを更新してきた。
特に、『暗殺』(2015)での活躍は有名。役作りでなんと15kgも減量し、そのうえ不安を抱えた役の心理を表現するために48時間寝ずに撮影に挑んだシーンも。その甲斐あってか、観客動員数は1千万人を優に超えた。
マ・ドンソク
マ・ドンソクは、本国のみならず日本でも“マブリー”の愛称で親しまれている俳優。『元カレは天才詐欺師~38師機動隊~』(OCN/2016)など、過去にはドラマ出演歴もあるが、スクリーンで圧倒的な活躍を見せている。
なかでも映画『犯罪都市』シリーズ(2017、2022、2023、2024)が有名。マ・ドンソクの描き出す愛すべきキャラクターと痛快なアクションシーンが好評を得ている。続き物の場合、徐々に人気が失速するケースがみられるが、本作は全4作、観客動員数1千万人越えを果たし、韓国映画界を代表するシリーズものとして広く認知されている。
ユ・へジン
ユ・へジンは、劇団出身の映画専門俳優。ドラマの出演歴もあるが1作のみで、デビュー以来約27年間スクリーンで活躍してきた。どちらかというと、ワントップで主演を務めるタイプの役者ではなく、各作品で重要なキャラクターを演じて物語を最高潮に盛り上げるタイプ。
代表作の1つで、観客動員数1千万人を超えた『ベテラン』(2015)でも、ファン・ジョンミン、ユ・アインという錚々たる役者陣が名を連ねるなか、自分だけの魅力を発散し興行に大きく貢献したと言われている。
ファン・ジョンミン
ファン・ジョンミンは、韓国映画を語るうえで抜きにはできない名優中の名優。近年ドラマでは、『ナルコの神』(Netflix/2022)で極悪神父を演じ熱い視線を浴びたが、悪役を演じさせたら彼の右に出る者はいないと言われるほど。言動や表情の全てで独特の怖さを表現し、映画ではそんな彼の名演技を満喫できる作品が多い。
ところがそうかと思えば、善良なキャラクターもお手の物。人情深い役で活躍した主演映画『国際市場で逢いましょう』(2014)は、公開後28日目で観客動員数1千万人を突破し、家族のために生きてきた父役で好演を繰り広げた彼には称賛の声が届いた。
ハ・ジョンウ
ハ・ジョンウも前出のファン・ジョンミン同様、最近のドラマでは『ナルコの神』での活躍が挙げられるが、映画をメインに活動を繰り広げている俳優。同年代の役者と比較すると演技力の面でも興行の面でも他の追随を許さない。
それだけにヒット作も多いが、近年話題となったのは2部構成からなる『神と共に 第一章:罪と罰』(2017)と、『神と共に 第二章:因と縁』(2018)。日本でも大成功を収めた映画『新感染ファイナル・エクスプレス』(2016)を超える興行成績を残した。ハ・ジョンウの熱演によって、ただのファンタジーにとどまらず見応えのある作品に仕上がっている。
(ライター/西谷瀬里)