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台南食べ歩きの新スポット!善化で見つけた絶品牛肉湯と老街【台湾食べ歩きの旅 #16】

ウレぴあ総研

【台湾食べ歩きの旅 #16】『阿牛仔牛肉湯』は、牛肉湯のほかに牛バラや牛レバー、さらにはミックススープもあり、どれも値段は同じ。ほんのりピンク色の肉は柔らかくて美味

台湾一周グルメ旅も後半に突入。

【全画像】台湾に言ったら絶対食べたい!牛肉湯(スープ)

第二の都市・高雄エリアから北上を続け、台南にさしかかる。

台南の人々は、台湾のなかでも食事、とくに朝食を大事にすると言われている。

暑い地域なので体力を消耗しやすい。早朝の凉しい時間帯に流通し始める新鮮な食材で一日のエネルギーを摂取しようという人が多いのだ。

その象徴が台湾では豚肉と比べると高価な牛肉を使った牛肉湯(スープ)だ。

ところが、台南名物の牛肉湯発祥の地は台南の中心地ではなく、市街地から少し離れた「善化」というエリアなのだと聞いた。

今回は何度も訪れている台南駅を飛ばし、岡山駅から各駅停車で善化を目指す。

台南を飛ばして牛肉湯の町、善化へ北上

ここ数年でリニューアルを終え、立派になった台鉄駅は多いが、善化は地方のごく小さな駅だ。

それでも、台南に住む友人の話だと近代化が急速に進んでいるという。

確かに真新しい学習塾や大型スーパーのチェーン店をいくつも見かける。

駅から少し離れたところにはタワーマンションのようなものが工事中だ。

しかし、高層ビルを見上げるようにして道路沿いに建ち並ぶのは、かなり古い鉄筋や木造の建物群。

よく見ないと気づかないが、善化駅から西にのびる中山路沿いは、「老街」と呼びたくなる旧建築物の宝庫だ。

老街といえば、台北では迪化街がその代表格だが、ここ善化の老街はあまり手入れがされていないので、崩れ落ちそうになりながらそのまま頑張っている印象だ。

そんな老街をしばらく歩くと、この街の守り神のような廟がひょっこり現れた。

大きな広場の奥にたたずむ、鮮やかなオレンジ色の屋根瓦。「善化慶安宮」だ。規模こそ小さいけれど、長い歴史とこの街を見守ってきた風格がある。

台南は古都として知られているが、ここ善化の廟も300年以上の歴史を誇っている。

今は参拝者も少ないが、開発が進んだ台南の他のエリアよりも、こんなふうに自然に時を重ねた廟や老街のほうが美しいと私は思う。

善化と牛肉の関係

善化で牛肉湯が有名なのはなぜか? 実は、善化には古くから牛墟(ニョウシュー)と呼ばれる牛の取引所があった。

1999年に口蹄疫が流行り閉鎖となるまでの100年間、ここは台南エリアの牛の供給源だったのだ。

農耕の牛や食用の牛、その他の肉や野菜まで、たくさんの物が取り引きされていたが、1999年以降は牛の取り扱いが禁止となり、野菜や雑貨を中心に扱う市場となった。

名前だけは「善化牛墟」のまま今でも定期的に市が開かれている。

そして、今も善化には台湾最大規模の食肉処理場があり、台南エリアの牛肉の多くがここから出荷されるのだ。

台南市内で食べる牛肉よりも、善化で食べる牛肉のほうが処理場に近いので新鮮というわけだ。

牛肉湯の町一番の人気店へ

私はさっそく、善化でも一番人気と言われる牛肉湯の店『阿牛仔』を訪れてみた。

昼時を過ぎてしまったので、店内はガランとしている。

「今、牛肉を切らしていて、取りに行っているから3時頃また来てくれ」と若い店員が言うので、私は近所を散歩しておなかをすかせた後、ふたたび店に戻った。

店内にはすでに数組が着席して牛肉を待っている。3時を過ぎたのに、まだ材料が到着していないようだ。

大きなスープ鍋を前に、店員も暇そうである。しかたなく私も席に座って肉の到着を待つことにした。

中途半端な時間帯なのに、その後も続々と客が入り始めた。店員は来店する客に同じセリフを繰り返す。

「牛肉を取りに行っています、もうすぐ着きます」。驚いたことに、広い店内はほぼ満席になった。

まだ材料の肉が到着していないのに、である。

台湾で長らく食べ歩きをしているが、材料待ちというのは初めてだ。

店内の客は注文書に記入したり、壁掛けテレビを見たりしながら、ひたすら肉の到着を待っている。

20分ほど待っただろうか、ようやく店前に黒い普通車が停まり、大きなポリ袋に入った牛肉が2袋ほど店内に運び込まれた。

客たちがざわつく。なんだか配給を待つ難民になった気分だ。

牛肉湯は、スライスした新鮮な肉をお椀に入れて、そこに熱々のダシ汁をかけるだけなので、調理にはまったく時間がかからない。

私は注文書に記入して店員に渡し、セルフサービスのライスやタレ、刻みショウガなどを用意した。

普通、牛肉湯と一緒に食べるごはんは白米なのだが、なぜかセルフサービスコーナーには煮込んだ魯肉(豚バラ肉)も置いてあり、ほとんどの人はこれを白米にかけて魯肉飯にしている。

つまり、牛肉湯と魯肉飯の組み合わせで食べるのだ。魯肉飯に罪はないけれど、新鮮な牛肉と魯肉飯を一緒に食べるなんて、なんだか牛肉湯に対する冒涜のような気がしてしまう。

でも、魯肉が無料なものだから、みんなつい白米に乗せてしまうのだ。私も結局、控えめながら白米にちょこんと魯肉を乗せてみた。

もちろん、魯肉飯としても美味しいのだが、メインはやはり牛肉だ。

ダシ汁をかけただけのピンク色の牛肉は新鮮そのもの。ほとんど脂身がないのに柔らかく、肉の香りとにじみ出る旨味がたまらない。

小サイズなら100元でライス(プラス魯肉)付きとは破格である。さすがは台湾最大規模の牛肉の産地。豚肉をサービス付けてしまうとは気前がいい。

(うまい肉/光瀬 憲子)

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