本場ドイツのコンテストで金賞を受賞した「かみはやしハム」。
のどかな田園風景が広がる村上市の神林地区に、ソーセージの本場・ドイツで品質を認められたお店があります。それが「かみはやしハム」です。この道36年の店主・齋藤さんから、お店の歴史と共にハムやソーセージに対するこだわりを聞いてきました。
有限会社 かみはやしハム
齋藤 寿明 Toshiaki Saito
1967年村上市(旧神林村)生まれ。群馬県の全国食肉学校で学んだ後、無添加ハムのメーカーに勤務。1988年に地元へ戻り「かみはやしハム」を開業する。2008年の「DLG国際ハム・ソーセージ品質コンテスト」で金賞と銅賞を受賞。
地元産の豚肉に付加価値をつけるため立ち上げた「かみはやしハム」。
——美味しそうなソーセージやベーコンがたくさん並んでいますね。「かみはやしハム」はいつどのように創業したんでしょうか?
齋藤さん:1988年に旧神林村の補助事業として、3人の養豚農家が集まってはじめたんです。地元の豚肉に付加価値をつけることが目的で立ち上げられた事業でした。
——齋藤さんも養豚農家だったんですね。
齋藤さん:旧神林村は養豚業が盛んだったんですよ。父もそのうちのひとりだったので、私も家業を継ぐつもりで群馬県にある食肉学校に入学して、精肉処理をはじめ食肉にまつわる勉強をしてきたんです。
——卒業後は実家の養豚場で働いたんですか?
齋藤さん:せっかくだから食肉加工の経験をしておこうと思い、群馬県で無添加ハムの製造をしている会社に入社しました。でも「かみはやしハム」立ち上げの話があったので地元へ戻ってきたんです。
——「かみはやしハム」立ち上げの直前に、ハムのメーカーで働いていたのはベストタイミングでしたね(笑)
齋藤さん:私もそう思います(笑)。おかげで、新潟県内ではまだ少なかった無添加製品も創業時から製造していましたから。
——「かみはやしハム」をはじめてみて、大変だったことってありますか?
齋藤さん:まったく売るあてのない状態で立ち上げたので、いちばん大変だったのはマーケティング面でしたね。私は製造は得意だけど営業は苦手なんです。人の製品を売り込むのは得意なんだけど、自分の製品を売り込むのは大の苦手なんですよ(笑)
——それもなかなか変わっていますね(笑)。では、どのようにして販路を広げてきたんでしょうか?
齋藤さん:お話をいただいたところからお受けして、こつこつとお客様を増やしてきました。今でも営業は苦手なんですよ(笑)
素材のうま味を引き出す、製法にこだわる。
——こちらのソーセージやハムにはどんな特徴があるんでしょうか?
齋藤さん:長い間それで頭を悩ませてきたんですよ(笑)。同じような製品はどこにでもあるわけだから、どこで差別化を図ったらいいのかをずっと考え続けてきました。素材になる肉が上質なものだからといって、必ずしも美味しい製品が作れるとは限らないと思うんです。
——素材を生かすのは製造技術ということですね。
齋藤さん:そうなんですよ。他との差別化を図るために色々な製法を探しました。そのなかで出会ったのが、オランダ人マイスターのシェフケ・ダンカースさんだったんです。ダンカースさんが講師を務める講習会に毎年通って、ソーセージの本場・ドイツの食肉加工技術について学ばせていただきました。
——その講習で学び得たことはありましたか?
齋藤さん:日本はまったく違う食肉加工の考え方を学ぶことができました。あとはしっかりと上質な製品を作ろうとする姿勢や、職人としてのプライドを感じましたね。
——探していた方向性を見つけることはできたんでしょうか?
齋藤さん:甘味料や化学調味料を使わずに、岩塩と香辛料だけで素材本来のうま味を引き出す製法をとるようになりました。
——なるほど。
齋藤さん:自分の作る製品が世界ではどう評価されるのか知りたかったので、ドイツ農業振興協会が主催している国際的なハム・ソーセージの品質コンテストに、看板商品の荒挽フランクとボンレスハムを送って応募してみたんです。
——結果はどうだったんですか?
齋藤さん:コンテストでは200項目にわたってチェックを受け、それぞれが5段階で評価され、満点だった製品のみ金賞に選ばれ、1点足りないと銀賞、2点足りないと銅賞になるんですよ。おかげさまで当店の製品はふたつとも受賞し、荒挽きフランクが金賞、ボンレスハムが銅賞をいただきました。
——200項目もチェックを受けて満点ってすごいじゃないですか。
齋藤さん:自分のやってきたことが間違っていなかったと確認できて自信もつきましたし、大きな励みになりましたね。
——普段はどんなことにこだわって製品を作っているんでしょうか?
齋藤さん:うま味、塩味、スモークの加減、食感といった、全体のバランスを大切にしています。それから製品がブレないように心がけているんです。お客様に受け入れていただける味を目指しながら、でも媚びるような製品にはしたくないんです。そのためにも、お客様に自信を持って薦められるような製品を作っていきたいですね。
かみはやしハム
村上市宿田202-1
0254-66-7593
9:00-17:00
不定休