あの『ド派手成人式』仕掛人? 貸衣装店「みやび」小倉店長兼デザイナー・池田雅さん
西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。今回のゲストは、貸衣装店「みやび」小倉店長でデザイナーの池田雅さんです。
袴を<金><銀>の生地で織ってもらい作成
甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。
横山:同じく、西日本新聞社 横山智徳です。
甲木:横山さん、ご自分の成人式では、どのような服装で行かれましたか?
横山:紺のスーツです。
甲木:そうなんですね。さっそく、本日のゲストをお呼びしましょう。北九州のド派手成人式の仕掛け人、貸衣裳のみやび店長、そしてデザイナーの池田雅さんです。よろしくお願いします。
横山:よろしくお願いします。
池田:よろしくお願いします。
甲木:本当に今日は楽しみにしておりまして、クロスFMの方も朝からすごく楽しみにされていました。北九州の成人式は金や銀、レインボーカラーとかあるいは毛皮などを使った、ド派手な成人式の衣装で全国から注目されていますが、これは全部、池田さんがデザインされているということですが、池田さんは意外に地味なんですよ。インナーも黒だし、アウターも黒で全然「金・銀」じゃないです。
池田:普段もこんな感じです(笑)。私は黒子に徹してるので。
甲木:お会いしたことない方は、きらびやかな方を想像しているかもしれませんが、今日も真っ黒なんです。池田さんが一番有名なのはやはり2003年に金色、銀色の袴を着たいとやってきた若者たちの要望に応えたということですが、その話は西日本新聞やほかのメディアでもたくさん取り上げられているので、今日はちょっとその裏話的なのことをお聞きしたいと思います。そもそも金とか銀の袴を頼まれても、貸衣装のみやびさんには無いと思いますが、それを雅さんご自身が作ろうとしたということですね。
池田:そうなんです。2003年にある若者2人が「みやび」に現れて、「僕たち全身を金と銀にして、金さん銀さんで成人式に行きたいんです!」と言われて、成人式の1年前の早い時期に相談に来られたんですよ。当時の取引先が京都などに10軒ぐらいあったので、電話を掛けたら、取引先からは金や銀は取り扱いが無いと言われました。成人式までに1年あったので、何とかできないかなと思いそれで作り始めたという感じです。
甲木:でも無いといわれたら、生地を織ってもらうということですか?
池田:そうなんです。羽織に使う金と銀の生地は、探したらすぐ見つかったんですよ。羽織用の生地は金襴と銀襴があったので、これを縫製の工場に頼めば良いと思いました。しかし下の袴の金と銀の織物が無く、ある織元の方にお願いをして、テストピースを織ってもらったんです。その中から最も金や銀に見える生地を決めて、それを織ってもらい袴を作りました。
「自分たちが働いたお金で衣装を作る」という若者の希望に応えたい
甲木:そのような難しい要望を、どうして聞いてあげようと思ったんでしょうか?
田中:その2人がすごく良い子たちで。1年前に来店した時にとりあえず京都などの取引先を探したら、何とかなるだろうと思って安請け合いしたんですよ。「取り寄せたら連絡するね」と言ったら、彼らは作ってもらえると思って、「自分達で働いたお金で払いたいから毎月お金持ってきて良いですか?」って言うんです。それで毎月5000円とか1万円を「今月分です」と言って可愛いんですよ。持って来るたびに、だんだんプレッシャーになって断れなくなってきたんです。
甲木:前金を貰っているような感じですよね。
田中:そうなんです。
甲木:彼らからしたら、毎月お支払いすることで、「後、何回払えば着られるぞ」みたいな感じですよね。
田中:そうなんです。
ニューヨーカー達がエキサイティングする着物
甲木:2022年の秋にニューヨークで個展を開かれましたが、これもすごいですよね。
田中:そうなんですよ。びっくりなんですけど、海外の人から気付いて頂き、最初2018年にニューヨークのマンハッタンにあるブロードウェイストリートに自分の持ちビルを持っている、スティーブン・グローバスさんという方がいらっしゃるんですけど、その方から代理人を通してメールが来ました。そして「ド派手な着物を3着貸してほしい」と言われて、「いいですよ」ということでEMS(国際スピード郵便)で送ったんですよ。後で聞いたら、日本全国の京都や、織元の5カ所ぐらいに3着ずつ借りているとのことでした。
グローバスさんがすごく親日家で、畳の文化が恋しくて自分の持ちビルのペントハウスに和室を作ったということなんです。その和室で着物文化を紹介する感じで、キュレーターの方がいらっしゃって、キュレーティングして、一つ一つの説明文が付くという展示会が行われました。日本全国の5ヶ所ぐらいから借りており、それぞれのブースを作っているのですが、「みやび」のところだけニューヨーカーたちが、あーでもないこうでもないと楽しそうにいいながら、エキサイティングしていてすごく反応が良いということでした。
そして「みやび」の着物はすごい!みたいな感じになり、「単独の個展をしませんか?」というお話がきました。本当は2020年に依頼したかったようなんですけど、コロナがありましたので、2年後の2022年の3月に連絡があって、同年11月にニューヨークで個展をしました。
横山:すごいですねー!
甲木:お話は尽きないところではあるんですけれども、今週は時間が来ましたので、また続きの話は来週お伺いしたと思います。今週は北九州市のド派手成人式の仕掛人、貸衣装「みやび」店長兼デザイナーの池田雅さんにお話を伺いました。池田さん、どうもありがとうございました。
横山:ありがとうございました。
田中:ありがとうございました。
〇ゲスト:池田 雅さん(貸衣装「みやび」店長兼デザイナー)
〇出演:甲木正子、横山智徳(西日本新聞社北九州本社)