好きなことばかりで大丈夫?子どもの“生活バランス”を整える3つのコツ
臨床心理士・公認心理師のyukoです。読書に夢中なのはよいけれど、食事の時間になってもやめられない。ピアノの練習をし始めたと思ったら2時間も続けている……など、生活のバランスに悩む親御さんは多いもの。時間管理やスケジュールのバランスをとる力はどのように育てていけばよいでしょうか。
好きなことを妨げたくない、でもバランスのよい生活をしてほしい。
小学4年生の娘。小さい頃から読書が大好きで、本を読み始めると止まらない。夕飯の時間になっても気づかず、声をかけても「あとちょっと」とページをめくり続ける。ピアノの練習も同じで、一度始めると2時間近く弾き続けることも。他のお母さんからは「ゲームばかりよりいいじゃない」と言われるし、夢中になれるのはよいことだと思う一方で、「宿題は?」「お手伝いは?」と気になってしまう。やるべきことのバランスを取ってほしいけれど、どう声をかければよいのだろう。
小学校低学年くらいまでは、子どもが夢中になるものを見つけると、親はどんどん頑張ってほしいと一心に思うもの。
サッカーに夢中、読書に夢中、ピアノに夢中。
好きなものが見つかって、力をどんどん伸ばしてほしいと思い、他の生活面は少し多めに見れることが多いようです。
しかし大きくなるにつれて、生活のバランスが気になってきます。
宿題・習い事・友達付き合い・家の手伝いなど。
何かに深く没頭する姿を見て、「やりすぎなのでは? セーブしたほうがいいのでは?」と不安に感じる親御さんも出てきます。
夢中になっていることと、生活全体のバランス。どう折り合いをつけて育てていけばよいでしょうか。
子どもの生活バランスを整えるコツ3つ
生活のバランスを整えたいときによく言われる「声かけ」や「タイマー」以外にも、親子で試せる関わり方があります。
「生活の配分」を親子で可視化してみる
多くの子どもは、「1日の時間」を実感として理解するのが難しいものです。
そこでおすすめなのが、1日の活動をざっくり図にしてみることです。
紙に円を描き、
・学校
・宿題
・習い事
・家のお手伝い
・好きなこと
・休む時間
などを書き込みます。
・「本を読む時間って、どのくらいがちょうどいいかな?」
・「ピアノはどこに入れる?」
・「今足りないなって思う活動は?」
など、親が決めるのではなく、子どもに考えさせる形にするのがポイントです。
子ども自身が「生活全体」をイメージできるようになると、バランスの感覚が少しずつ育っていきます。
“やめるタイミング”を一緒に設計する
多くの家庭では、「やり始めること」は決まっていても、「やめどき」は曖昧なままです。
そこでおすすめなのは、「やめるサイン」を先に決めておくこと。
たとえば、
・この章まで読んだらいったん区切る
・ピアノは3曲弾いたら休憩
・15分経ったら一度ストップする
人は没頭していると、途中で切り替えるのが難しくなります。
なので最初に区切りを決めておくと、気持ちよく終われるんです。
バランスは、週単位・月単位で考える
しっかりした親御さんほど、「宿題も習い事も手伝いも息抜きも、全部ちゃんと」と思いがちです。
しかし、現実の生活では毎日完璧にバランスを取るのは難しいもの。
・「今日はピアノの日だから、お手伝いは少なめでもいいか」
・「今週は疲れてそうだから、宿題だけやったらOKにして、あとは好きにさせよう」
こうした日ごとの微調整ができると、子どもは「バランスとは固定されたものではない」と学んでいきます。
バランスは「教えこむもの」ではなく「育つもの」
子どもの生活のバランスが気になるとき、親はつい「時間を管理しよう」と考えます。
しかし心理の視点から見ると、バランス感覚は外から管理されて身につくものではありません。
好きなことに夢中になる経験、少しやりすぎてしまう経験、そして生活全体を見直す経験。そうした積み重ねの中で、少しずつ育っていくものです。
大切なのは、「やりすぎ」をすぐに止めることよりも、子どもが自分の生活を俯瞰して考える機会をつくること。
そして、好きなものに没頭できる力を否定しないこと。
「どんなバランスだと気持ちよく過ごせるかな?」と、ゆるく一緒に考えていけると、将来につながる生活力を育てていくことができます。
子どもの「好き」や「夢中」を大切にしながら、親子ともに心地よい時間を作っていけるといいですよね。
yuko/臨床心理士・公認心理師