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ダニエル・アーシャム×ポケモン「A Ripple in Time/時の波紋」をレポート

OMOHARAREAL

世界から熱視線を集めるアメリカ人アーティスト・ダニエル・アーシャムのポケモンが、再び日本の東京にやってきた!つい先月、全米ビルボードアルバムチャートで初登場1位を記録したラッパーGunna『DS4EVER』のアートワークを手がけたことも記憶に新しい。石膏やブロンズ、クリスタルなどのマテリアルを用いて、現代のオブジェクトを化石のように結晶化させる「Fictional Archeology(フィクションとしての考古学)」をコンセプトにした作品で世界的に知られている。ジャンルを問わず、グローバル企業とコラボしており、ポルシェを丸々作品に置き換えた「クリスタル エローデッド ポルシェ911」は圧巻で、世界中を巡回し注目を集めた。

そんなダニエル・アーシャムが株式会社ポケモンとコラボする展覧会プロジェクトの第3弾が2020年の東京、2021年のNYに続きスタートした。会場は2年前よりもさらに拡張され、神宮前NANZUKA UNDERGROUNDの他、NANZUKA 2G、3110NZ by LDH kitchen、草月会館、六本木ヒルズ、都内計5会場で同時開催という注目の展覧会だ。ダニエル・アーシャムが創造する、遥かなる未来で結晶化したポケモンたちの姿を見ることができる。

熱いポケモンバトルを繰り広げた、幼少期の子供心をくすぐる本展示の、貴重なプレビューに幸いにもお誘いいただけたので、さっそくNANZUKA UNDERGROUNDで行われる「A Ripple in Time/時の波紋」(各会場ごとに展示タイトルが付けられている)へと赴いた。

入り口ではブロンズ製のピカチュウがお出迎えしてくれた。この日の関東は雪予報。到着したタイミングは雨にさらされていたが、その姿は展覧会のコンセプトに臨場感を与えてくれているようだった。

1Fフロア中央には羽を広げたリザードン、ゴーストやピカチュウ、ケーシィといったおなじみのポケモンたちが鎮座。その出立ちはポップアイコンとして親しまれたポケモンたちと打って変わって、崇高な存在へと昇華されている。精巧な表情からは本当にそこで生きていたかのような息遣いすら感じる。

NANZUKA UNDERGROUNDでの展示の目玉のひとつが2年の歳月をかけて作られたというオリジナルアニメ作品。主人公サトシたちがポケモンバトルの最中、時を超えて未来へと飛ばされ、結晶化されたポケモンたちの姿を見るという内容だ。懐かしのキャラクターやミュウや物語の鍵を握るセレビィなどレアなポケモンも多数登場する。その度に、心の中でキャラとポケモンの名前を叫んでいたことは言うまでもない。

アニメ作品は97年放送の「ポケットモンスター」の総監督であり、現在はクリエイティブスーパーバイザーとして後進を見守る湯山邦彦さんとのコラボレーション。全てのポケモンファンたちの夢をダニエル・アーシャムが代表して叶えてくれたような作品だ。当時放送されていた「ポケットモンスター」の絵柄を踏襲しており、かつてポケモンに熱を上げていた世代には懐かしく、今のポケモン世代には新鮮に映るのでは?

プレビューはコロナ禍を鑑みて時間ごとの完全予約制で行われた。コレクターや、メディア関係者、インフルエンサーも訪れていた。アニメ作品の最後には、鑑賞者にサプライズが用意されているので、カメラを構えてスタンバイしておこう。

親子での来場者も目立った。小さな子供を連れて家族で現代アートの展示を楽しめるというのもポケモンの強み。また、本展におけるダニエル・アーシャムの作品が、子供にとってアートに興味を抱くきっかけとなるかもしれない。

2Fへ上がると、ポケモンカードをモチーフにした重厚なブロンズ作品が。子供の頃を思い返せば、手の平サイズのレアカードにはリアルにこれくらいの存在感があったと思う。

石板のように結晶化したカードを見つめながら、実家の引き出しの奥で未だ眠っている、あの頃夢中になっていた傷だらけのカードたちに思いを馳せる。

時空を越えたポケモンの姿を現代に顕現させたダニエル・アーシャム。その姿は今まで見てきたどのポケモンとも違う、神聖で荘厳な雰囲気に満ちている。

作品が配置された空間には日本の侘び寂びや禅のような、ミニマルな感覚も投影されているように感じた。「ポケモンとともに育った」とインタビューで語るダニエル・アーシャムにとって、ポケモンはポップアイコンであるとともに、記憶の中で輝く崇高な存在であり、彼がポケモンに抱く畏敬の念を示唆しているかのようだ。

展覧会タイトルの「時の波紋」さながら、無限に広がっていく、時間の流れを強く意識させる展覧会だった。大人になった今も、ポケモンにこれだけ感動できるとは思わなかったし、夢中だった当時、現代アートの文脈でポケモンがフィーチャーされることなど誰が想像しただろうか。

ポケモンのみならず今、目の前にある日常的な光景や物質が1000年後、いや、もっと近い未来、先人たちのレガシーとして神格化されている可能性が大いにある。そんなことをダニエル・アーシャムの「Fictional Archeology(フィクションとしての考古学)」は想起させてくれる。連綿と続く表参道・原宿の歴史もファッションやカルチャーの文脈で様々に語り継がれているが、まさに今、原宿に広がっている景色、起こっている出来事がレガシーとして発掘される時が必ずやって来るだろう。

■概要
ダニエル・アーシャム × ポケモン「A Ripple in Time/時の波紋」
開催期間:2月12日(土) 〜 3月27日(日)
営業時間:11:00〜19:00
開催場所:NANZUKA UNDERGROUND
住所:東京都渋谷区神宮前 3-30-10
電話番号:03-5422-3877
休業日:月曜日・祝日
同時開催:NANZUKA 2G3110NZ by LDH kitchen草月会館 草月プラザ六本木ヒルズ 66プラザ
(展覧会についての詳細はダニエル・アーシャム × ポケモン NANZUKA特設HPを御覧ください。)

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