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河合優実や今田美桜ら“若き才能”見出した監督・中川駿とは?最新作『90メートル』と過去作から紐解く

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河合優実や今田美桜ら“若き才能”見出した監督・中川駿とは?最新作『90メートル』と過去作から紐解く

山時聡真×菅野美穂 W主演『90メートル』

人生の岐路に立つ高校生の息子と、難病を抱えながら我が子の希望ある明日を願うシングルマザーの揺るぎない愛を綴った感涙物語『90メートル』が、 3月27日(金)より全国公開を迎える。

本作の脚本・監督を手がけた中川駿は異色の経歴を持つ映像作家として知られるが、2022年の商業長編監督デビュー以降、華々しい経歴を重ねてきた。そんな中川監督の最新作『90メートル』の公開を前に、その興味深いキャリアと過去作について振り返っておこう。

©2026 映画『90メートル』製作委員会

豪華キャストからミセス大森元貴による主題歌まで話題づくし!

直木賞作家・朝井リョウの連作短編小説『少女は卒業しない』の映画化で商業長編デビューを果たし、住野よる著の同名ベストセラー『か「」く「」し「」ご「」と「』でも高く評価された新進気鋭の監督・中川駿。渾身のオリジナル企画を映画化した『90メートル』は、母親を看病した経験を持つ監督が自身と自身の母を重ね合わせたキャラクターをもとに生み出した、半自伝的作品だ。

©2026 映画『90メートル』製作委員会

難病を抱えた母・美咲と2人で暮らす高校3年生の藤村佑(たすく)を演じるのは、スタジオジブリの『君たちはどう生きるか』で主役声優の座を射止め、ドラマ『ちはやふるーめぐりー』など話題作への出演で注目を集める山時聡真。人生の岐路に立ったいま、東京の大学に進学したい気持ちと母のそばを離れるわけにはいかない状況下に置かれ、将来の選択を迫られる等身大の主人公を体現した。

©2026 映画『90メートル』製作委員会

母・美咲を演じるのは、自身も子育て中であり、『ディア・ファミリー』『近畿地方のある場所について』と母親役が続く菅野美穂。日に日に身体の自由がきかなくなる難病を患いながら、我が子を何よりも思いやる母親を熱演している。さらに、美咲が利用する介護施設のケアマネジャー・下村香織を西野七瀬、佑が所属するバスケ部のマネージャー・松田杏花を南琴奈、バスケ部員・大平翔太を田中偉登が演じた。

そして主題歌は、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴による書き下ろし楽曲「0.2mm」に決定。豪華キャストに必聴の主題歌、気鋭監督のオリジナル脚本と話題づくしの感動物語が今年、日本中を涙に染める――。

初のオリジナル作品! 母と子の絆を描く『90メートル』

3月27日(金)より全国公開

小学生の頃からバスケットボール一筋だった佑(山時聡真)。母・美咲(菅野美穂)が難病を患ったことで、母子家庭で育った佑は高校2年のときにバスケを辞め、美咲の世話を優先せざるを得なくなる。

高校3年生になった今、東京の大学に進学したい気持ちはあるが、日に日に身体の自由を失っていく美咲の姿を見ると、上京したい気持ちを打ち明けられずにいた。そんなある日、介護施設のケアマネジャー・下村からヘルパーの増員により24時間ケアの体制が整ったことを告げられる。

我が子の明るい未来を願う美咲は「お母さん、大丈夫だから。好きなようにしていいからね」と優しく声をかけるが――。

©2026 映画『90メートル』製作委員会

中川監督初のオリジナル作品となる本作は、自身の半自伝的作品だ。監督自身が30歳で母を看取った経験をテーマに落とし込むことから企画が始まった。徹底的な情報収集に裏打ちされたリアリティは、在宅介護経験者の胸をも打つだろう。

©2026 映画『90メートル』製作委員会

そして社会問題を取り扱うからには、「知る機会」になるよう“フィクションになりすぎてはいけない”という意識を常にもっていた中川が、脚本を書くうえで意識したのは第94回アカデミー賞で3部門を受賞した『Coda コーダ あいのうた』(2021年)だった。

©2026 映画『90メートル』製作委員会

本作は、中川が『コーダ』を観た際に主人公を見守る周囲の人々の反応に違和感を覚えたことから、「真逆の構図」を意図して制作されたという。また、主演の山時について「高校生時代の自分にそっくり」と語る中川は、撮影中も積極的にコミュニケーションをとり、2人とも自然と意見が一致することが多かったそうだ。そんな息の合ったチームで撮影された本作は、涙なしでは観られない仕上がりとなっている。

LGBTQを様々な方向から眼差す『カランコエの花 』(2018年)

「うちのクラスにもいるんじゃないか?」――とある高校2年生のクラス。ある日、唐突に「LGBTについて」の授業が行われた 。しかし他のクラスではその授業は行われておらず、生徒たちに疑念が生じる。「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」生徒らの日常に波紋が広がっていき……思春期ならではの心の葛藤が起こした行動とは?

<レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~>でグランプリを受賞し、その他の国内映画祭でもグランプリを含む13冠を受賞した本作は、高校生たちの夏の5日間を39分という短さで描ききった。中川監督作品の醍醐味ともいえるアドリブは本作にも用いられており、手島実優が演じた矢嶋みどりは、決まったセリフが1行ほどしかなかったという。主要キャストには、いまや話題作に引っ張りだこの今田美桜、笠松将らが名を連ねる。

『カランコエの花』
価格:DVD 3,800円(税抜)/Blu-ray 4,800円(税抜)
発売・販売元:中川組
©2018 中川組

本作が製作されたのは2016年、渋谷区のパートナーシップ条例が制定されたことをきっかけに「LGBT」について各メディアが取り上げていた時期だ。中川は当時、性的マイノリティを題材とした作品を多く観るなかで、「LGBT当事者ではなく周囲の人々の目線から描かれる作品を作ろう」と考え本作を撮影したという。実際、本作には「当事者だけでなく周囲の人物の視点からも考えられる構図になっており、問題の本質について多角的に考えられる」「性的マイノリティにまつわる社会の問題について考えるきっかけになった」などの感想が寄せられている。

また中川は、この作品で「無関心層に届ける」部分が課題として残ったため、最新作の『90メートル』では「フィクションにしかできないこと」を意識し、広く届けることができる作品にしたと語った。監督のターニングポイントにもなった本作はチェック必須だ。

朝井リョウの人気小説を映画化した『少女は卒業しない』(2023年)

廃校が決まり、校舎の取り壊しを目前に控えたとある地方高校、“最後の卒業式”までの2日間。別れの匂いに満ちた校舎で、世界のすべてだった“恋”にさよならを告げようとする4人の少女たち。抗うことのできない別れを受け入れ、それぞれが秘めた想いを形にする。

「最後の卒業生」。誰もが経験のある「卒業」と「恋の別れ」。後悔と希望を胸に迎える卒業式に、恋する喜びと切なさを心に刻む少女たち――。二度と戻れない“あの頃”の感情を呼び起こす、新たな青春恋愛映画の金字塔。

『少女は卒業しない』Blu-ray&DVD
価格:¥5,200円(税抜)
販売元:Happinet
©朝井リョウ/集英社・2023 映画「少女は卒業しない」製作委員会

本作で中川は、7篇からなる短編集のうち4つの物語を抽出して脚本に起こした。「大人になること」をテーマに「初めて触れる理不尽」を描き、その理不尽を経験し、渡り合い、自分の道を見つけていく少女たちの機微を繊細に表現。脚本家としての手腕も光る中川だが、この作品でも監督の役割は「判断すること以外には、邪魔をしないことだった」と語っている。リアルな10代の感性を大切に、若手キャストの意見も積極的に取り入れながら撮影を進める中川らしい言葉だ。

ある種の「改変」をしつつも綺麗にまとめあげた中川の手腕は、原作者の朝井も絶賛したほど。「学校」という空間をとらえるために、広めの画角とハンディを使い分けた撮影手法にも注目して観てみては。

『か「」く「」し「」ご「」と「』(2025年)

みんなには隠している、少しだけ特別なチカラ。――それぞれの“かくしごと”が織りなす、もどかしくも切ない物語。

「自分なんて」と引け目を感じている高校生・大塚京(奥平大兼)は、ヒロインじゃなくてヒーローになりたいクラスの人気者・三木直子、通称ミッキー(出口夏希)が気になって仕方がない。予測不能な言動でマイペースな黒田、通称パラ(菊池日菜子)と一緒に、明るく楽しそうにしている彼女を、いつも遠くから見つめるだけ。そんな三木の幼馴染で京の親友でもある高崎博文、通称ヅカ(佐野晶哉)を通して、卒業するその日まで“友達の友達”として一緒にいるはずだった。……ある日、内気な性格の宮里、通称エル(早瀬憩)が学校に来なくなったことをきっかけに5人の想いが動き出す。

『か「」く「」し「」ご「」と「』
特別版Blu-ray(数量限定生産):¥7,370(税込)
通常版DVD:¥4,620(税込)
発売元:松竹
©2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会
©2017住野よる/新潮社

これまで、10代の登場人物の描き方がリアルで秀逸だと評価されてきた中川作品のなかでも、ひときわフレッシュな魅力があふれるのが本作。俳優自身がもつ個性やクセ、魅力を最大限に生かすため、脚本を演者に寄せていく現場での「似合わせ」の作業を本作でも欠かさなかったという。特にヅカを演じる佐野晶哉は“笑顔が素敵”ということで、その笑顔が消える瞬間を大事に扱ったそうだ。

中川は本作について「一見すると高校生の青春モノだが、どの世代の方にも共感してもらえる普遍的なテーマを描いた作品」と語っている。学生が主役でありながらも、誰が見ても自分の物語として落とし込める稀有で眩しい作品に仕上がった。

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