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恒例のNASAハロウィン企画「怪奇の銀河ポスター」2020年はミステリアスな天体現象がテーマ

おたくま経済新聞

NASAハロウィン企画「怪奇の銀河ポスター」2020年新作(Image:NASA/JPL-Caltech)

 NASAのジェット推進研究所が、毎年ハロウィンの時期に新作を公開している「怪奇の銀河ポスター」。その2020年版が10月26日(現地時間)に公開されました。今年のテーマは「ミステリアスな天体現象」。成長過程で時を止めてしまった銀河や、謎の星間物質ダークマターなどがイラスト化されています。

 ジェット推進研究所(JPL)の太陽系外天体探査プログラム局では、天体に興味を持ってもらおうと、毎年ハロウィンに合わせて「Galaxy of Horrors」と題し、ホラー映画風味のイラストで興味深い天体のポスターを作成。公式サイトを通じて印刷用PDFや、スマホの壁紙に使える画像ファイルとして公開しています。

 2020年のテーマは「ミステリアスな天体現象」。実際に存在する謎に満ちた天体や、謎に包まれた天体現象を3つ選び、イラスト化しています。

 まずは蜘蛛が恐ろしげな雰囲気を出している「ダークマター(Dark Matter)」。「暗黒物質」とも呼ばれ、確かにそこにあるはずなのに、それが何なのか現在の科学では感知することができない星間物質で、宇宙空間の過半数を占めるものです。

 現在、ダークマターの存在は、すでに知られている物質を観測している際、その物質に影響を及ぼすことで観測結果に変化が起きるため「何か未知の物質がある」という傍証でのみ、確認されています。あることは理論上間違いないのに、今の科学技術では直接観測することができない……まるで幽霊のような存在。それが単体の物質なのか、複数存在するのかも分かっていません。

 続いては「銀河の墓場(Galactic Graveyard)」と題された、地球から約10億光年離れた場所にあるMACS 2129-1という名の銀河(小宇宙)。2017年、ハッブル望遠鏡によって発見されました。

 この銀河の奇妙な点は、現在の宇宙が誕生したビッグバンから数十億年後の姿をそのまま残していること。通常ならば私たちの地球がある銀河系のように成長し、様々な星が誕生しているはずなのですが、なぜか成長が途中で止まってしまい、星が生まれかけている時点で時が止まったようになっているのです。

 成長過程で止まってしまったため、このMACS 2129-1は銀河系の半分程度の大きさなのに密度が高く、重量は銀河系の3倍ほどという計算結果が出ています。なぜ成長が止まっているのか、理由はまだ分かっていません。

 最後は「ガンマ線のグール(Gamma Ray Ghouls)」と題されたポスター。これは「ガンマ線バースト」と呼ばれる現象を、ヒロイックファンタジー作品に登場するモンスター、グール(死体を食らう悪魔・鬼)に例えたもの。グールはもともと、アラブの伝承に登場する怪物です。

 ガンマ線バーストは、1960年代にアメリカの核実験監視衛星が、発生源が不明な大量のガンマ線を検出したことをきっかけに発見されたもので、天文学の世界では知られている中で最大の発光現象。現在では星(恒星)の寿命が尽きる時や、星同士が衝突した際に発生するのではないかと考えられています。

 その膨大なエネルギー放出による明るさは、少なくとも太陽の数百兆倍。それが30秒から最大数時間放出されます。これまで観測されたガンマ線バーストは数十億光年以上離れたものばかりですが、もし銀河系内でガンマ線バーストが発生したら、その防ぎきれない強力なガンマ線により、地球上の生物はほとんどが死んでしまうでしょう。

 宇宙には今回のポスターになった「ダークマター」をはじめ、分からないことばかり。それゆえに天文学者たちは謎を解こうと、様々な観測や研究を続けています。

 これらの「Galaxy of Horrors」ポスターは英語版だけでなく、ヒスパニック系に配慮したスペイン語バージョンも作られています。これをきっかけに宇宙に興味を持ち、科学者を志した子供たちが、未来に宇宙の謎を解いてくれるといいですね。

<出典・引用>
NASA ニュースリリース
Image:NASA/JPL-Caltech

(咲村珠樹)

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