新紙幣発行まで3ヶ月 対応迫られる飲食店
今年7月3日の新紙幣の発行まで、あと3ヶ月ほどになりました。
1万円札は福沢諭吉から渋沢栄一。5千円札は樋口一葉から津田梅子、千円札は野口英世から北里柴三郎に変わります。
券売機対応 新規購入は200万円かかるものも
対応を迫られているのが飲食店の「券売機」。券売機の専門店では、今、問い合わせが相次いでいます。
券売機の販売やメンテナンスを行う日本総合券売機株式会社 香村暁社長のお話です。
日本総合券売機株式会社 香村暁社長
紙幣が変わりますので、紙幣識別機を交換しなくちゃいけないんですね。ただ、古い券売機ですと(交換の)対応が不可なので、買い替えになってしまうんですよ。交換できるものは交換するんですが、10万円から、高いもので40万円弱くらいするんです。買い替えますと、安い機械でも60万円くらいから、高いものですと200万超える機械になります。3月に入ってから特にお電話がすごく、ほとんどが問い合わせの電話で、注文数で言うと月に100件以上入っています。
基本的にだいたい7年以内のものは、券売機の中の「紙幣識別機」を変える、それより古いものは、新しいものに買い替える必要があるそうなんです。今は注文や問い合わせが相次いでいて、フル回転。新紙幣が発行される7月に向けて、対応に追われていました。
2021年から新しい500円玉の発行が始まりましたが、何度も更新するのは店側もコストがかかるので、新紙幣になるこのタイミングで新500円玉と新紙幣対応の券売機に更新するお店も多いそう。売れ筋は、小型の卓上のもので、キャッシュレス対応もしている券売機が人気だということでした。
葛飾区 券売機の買い替えや更新に補助
券売機の買い替えや更新にコストがかかるなか、飲食店などを支援しようと補助する方針を打ち出す自治体も出てきました。
葛飾区商工振興課 三山覚課長に伺いました。
葛飾区商工振興課 三山覚課長
新紙幣の発行に対応するため、店舗などで使用している自動販売機や券売機の買い替え、または改修にかかる費用を一部助成するものです。令和6年度予算に6600万円を計上しています。新紙幣発行に際して、中小店舗自身が自動販売機券売機を改修・買い替えする場合の費用負担や、お店などを利用する方の利便性も考えて、区内の中小店舗への補助を実施することとしました。区内でも中小の店舗が多いということもありますし、ラーメン店やそば、うどん店などを想定していて、その店舗数は200店舗程度を見込んでいるところです。令和6年7月からの申請開始を予定しています。
葛飾区では、新紙幣対応にあたって券売機の買い替え・更新の費用の半額を、上限30万円まで、補助するということです。葛飾区によると、東京都内の自治体による補助は初めてで、他の自治体からも問い合わせがすでにいくつかあったそう。
葛飾区には、卸売・小売業で、従業員が1人~4人の事業所がおよそ6割と都内でも多く、券売機を置くラーメン店やうどん店など、およそ200店舗からの補助の申請を見込んでいるということです。
「高いけど仕方ない」券売機対応に迫られる飲食店は
新紙幣への対応を迫られるお店はどう受け止めているのか、葛飾区内の券売機を置く飲食店で聞きました。
「ラーメン屋です。メーカーさんに連絡して、中の部品を交換して、新紙幣対応にできるようにしようと思っています。30万弱くらいです。高いけど仕方ないな、頑張るだけという感じですかね。」
「坦々麺専門店です。券売機は、メーカーから連絡があって、新紙幣対応するのに34万円かかると言われて、予約だけはしています。券売機は1年前に買ったばかりなので、そのときに150万円、今回プラス7月に34万。ちょっと痛いですけどね、今景気があまりよくないから。いずれ変えなきゃいけないので、お客さんが困ってしまうので、やむを得ない感じですけどね。今厳しいから本当は払いたくないですけど、みんなで変えるんだったら足並み揃えないといけない。補助金が全て出ればいいなと思うんですけどもね。」
取材したお店では「新紙幣を使えなくて困るのはお客さんなので、券売機の更新は仕方ない」「補助のことは知らなかったので、情報を集めたい」と話していました。
新紙幣の発行に伴って、いろいろなところで影響が出そうですが、あと3ヶ月、スムーズに準備が進むといいですね。